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*****令和3年12月28日(火)第654号*****

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一般高齢者の3回目接種、施設入所者への完了が見込めれば「来年1月から開始」が可能
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 厚生労働省は、新型コロナの3回目ワクチン接種の「前倒し」について、高齢者施設等の入所者・従事者に加え、通所サービス事業所の利用者・従事者も対象に含め、全国の自治体に向けて通達した(=昨日付け弊紙にて既報)。

 この通達では、高齢者施設の入所者・従事者と、通所サービスの利用者・従事者は、本来は2回目のワクチン接種完了から「8ヶ月後」としている原則から「2ヶ月の前倒しが可能=6ヶ月後」の対象として指定した。

 これ以外の「一般高齢者」は「1ヶ月の前倒しが可能」とし、2回目接種完了から「7ヶ月以上が経過した後」で、さらに「来年(令和4年)2月以降に実施することができる」と指摘した。

 【「施設入所者以外の一般高齢者が、来年1月に『前倒し』接種しても差し支えない」】

 またこの通達で厚労省は、自治体が3回目接種や「前倒し」を実施する際に生じる様々な問題点とその解釈を「Q&A」にまとめ、個々の問題について対処すべき「事例」を示した。この「Q&A」で「一般高齢者の接種者数を、平準化する等の必要性」に言及した。

 具体的には「一般高齢者の、来年2月以降の『前倒し』接種を実施する際に、対象の高齢者が2月頃に集中することを避けるため、来年1月から一般高齢者についても『前倒し』を開始してよいか? その際、施設入所者等の完了は必須か?」との趣旨によるもの。

一般高齢者の来年1月からの前倒しが可能に これに対し、厚労省は「施設入所者等の接種について、一定の完了が見込まれた段階で、一般高齢者の『前倒し』を行うことは差し支えない」等と指摘している=画像・厚労省HPより。黄色と緑色のラインマーカーは、弊紙による加工。結果的に、一般高齢者の「さらなる『前倒し』=来年1月からの接種開始」を認めた形となった。

 厚労省が自治体に示した「Q&A」の要旨は、次の通り。

 【「前倒し」接種に関するQ&A】

 ▽Q1=前倒し接種は、モデルナ社ワクチンを使用しないといけないのか?

 ▼A1=モデルナ社ワクチンに限らない。追加接種する時点で、手元にある1・2回目接種の、残余ワクチン等を使用しても差し支えない。

 ▽Q2=施設や通所事業所での接種について、すべての施設等で実施しなければならないのか?

 ▼A2=優先順位を考慮し、施設等での接種体制が整う範囲でご対応いただき、それ以外の高齢者は2月以降の一般高齢者として、接種を「前倒し」する中でご対応をお願いしたい。

 ▽Q3=高齢者施設等に入所している、64歳以下の者も対象となるか?

 ▼A3=「高齢者施設等の入所者」について、年齢の要件はないが(2回目接種完了から)6ヶ月以上が経過していることにご留意いただきたい。

 ▽Q4=「高齢者」の定義は、初回接種の手引きの定義(=令和3年度中に65歳になる方)と同じでよいか?

 ▼A4=同じだ。令和4年4月以降に65歳になる方についての対応は、追ってお知らせする。

 ▽Q5=来年2月から、高齢者全体への「前倒し」は、行わなければならないのか?

 ▼A5=住んでいる自治体によって、可能な限り接種のタイミングに差が生じないよう、できる限りご対応をお願いしたい。

 ▽Q6=施設入所者等ではない、高齢者の「前倒し」接種について、令和4年2月の接種者数を平準化する等の必要性から、令和4年1月から開始してよいか? その際、先行者(=施設入所者等)の完了は必須か?

 ▼A6=高齢者施設等の入所者等について、一定の完了が見込まれた段階で、その他の高齢者の接種の「前倒し」を行うこととして差し支えない。ただし、ワクチンの供給スケジュールに変更はないため、留意して接種を進めていただきたい。

 【追加(3回目)接種に関するQ&A】

 ▽Q7=住民に対して、日時・会場とワクチンを指定して接種券を送付してもよいか?

 ▼A7=住民に対し、日時・場所、ワクチンの種類の変更手段を示すとともに、ワクチンの供給の制約等により、必ずしも希望するワクチンを、希望する時期に接種ができるものではないことを併せて周知することであれば、差し支えない。

 ▽Q8=「間違い接種」により、すでに3回接種した者は追加接種の対象となるのか?

 ▼A8=12月1日より前に、国内ですでに3回以上接種を受けた者については、追加接種の対象外となる。またこうした者に対して、すでに追加接種用の接種券を配布している場合は、可能な限り接種券を回収するようお願いしたい。

 ▽Q9=海外で、国内承認のワクチンを2回接種した後、誤ってさらに国内で2回接種を受けている者は、追加接種の対象となるのか?

 ▼A9=対象外となる。

 ▽Q10=1・2回目接種は、当初の予定通り「令和4年2月末まで」か? 追加接種が始まることにより、1・2回目接種の実施期間も延長するのか?

 ▼A10=「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種」の実施期間中は、1・2回目接種が未接種の者を含め、予防接種法に基づく接種が可能であることから「今後、新たに接種対象になると想定される者」への、1・2回目の接種機会を確保していただきたい。

◇─[後記]───────────

 今回の、厚労省が自治体向けに実施した説明会を受け、全国の中にはすぐに「65歳以上の方の、3回目接種をさらに早める」と公表した自治体もあります。これにより、一般高齢者の3回目接種は、住んでいる自治体により、スタートでかなり「差」が出そうです。

 特に「一般高齢者の3回目接種を『さらなる前倒し』して、来年1月から始める」と決めた自治体は、この年末から年始にかけて、高齢者に対して広報すると想定されます。その際は、高齢者に「不要な混乱」が起きぬよう、丁寧に周知してもらいたいと思います。

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 【弊紙発行人より=日本介護新聞ビジネス版は、年内の発行は今号が最終となります。来年は、1月3日(月)から配信する予定です。読者の皆様には今年もご愛読頂き、心より感謝を申し上げます。来年もどうか、よろしくお願いいたします

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