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*****令和3年12月2日(木)第636号*****

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横浜市・ワクチン3回目接種の「前倒し」の実施、厚労省が承認・全国で初の事例
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 新型コロナワクチンの3回目の接種が、2回目の接種終了後「おおむね8ヶ月以上」とされているが、厚労省は「自治体から事前に相談があった場合の例外」として「おおむね6ヶ月以上」も認めている。この「例外」規定が、横浜市(山中竹春市長)で認められた。

 厚労省が「例外」を認めた事例としては、全国で初とみられる。横浜市では現在、高齢者施設でクラスターが発生しており、この事例が「例外に該当する」と判断して、厚労省に「前倒し」を申請した。

 この高齢者施設では、入所者と介護従事者が5月中に2回目の接種を完了しており、3回目の接種は、厚労省の「8ヶ月以上」の原則に当てはめると来年1月以降に実施する予定になっていた。

 しかし、横浜市の山中市長は「高齢者ほどワクチンを打っても免疫が下がりやすく、感染のリスクが高まっている」ことと「高齢者施設でクラスターがたくさん起こり、重症者が増えることを懸念している」と、11月26日の市長定例記者会見で述べていた。

 このため、クラスターが起きた高齢者施設の3回目のワクチン接種について、11月29日に厚労省に「例外」を申請し、11月30日に承認された。本来なら「6ヶ月以上」だと11月中に実施が可能だったが、準備の関係で12月20日頃のワクチン接種を予定している。

横浜市長会見 山中市長が11月26日の記者会見=画像・横浜市HPより=で、高齢者への3回目接種の「前倒し」の重要性について述べた部分の要旨は、次の通り。

 【「高齢者ほどワクチンを打っても免疫が下がりやすく感染のリスクが高まっている」】

 3回目の接種について、少し私見を述べさせて頂きたい。今、3回目接種の間隔が議論になっている。まず、重要なことは、通常医療を守りながら、コロナの治療を行うことだ。通常医療を守るためには、重症者をなるべく減らすことだ。

 重症者は、ベッドの占有日数がどうしても長くなるので、そういった方々が多くなると通常医療、がんや心臓病などその他の疾患の医療提供に影響が出る可能性がある。重症者を増やさないこと、そのためには重症化リスクが高い人の感染を減らすことが重要だ。

 重症化リスクの高い方で、真っ先に思いつくのが高齢者の方だ。高齢者の方は、感染すると重症化リスクが高くなるのは、色々なデータから示されている。高齢者の方がワクチンを2回打って、6ヶ月くらい経っている方が増えているところだ。

 最近になって、年齢が高い人ほどワクチン2回目の接種から、6ヶ月後の免疫が下がりやすい傾向にあることが、データとして報告されている。例えば、Levin先生が報告されている論文がある。

 また(山中市長がかつて勤務していた)横浜市大で元々、私が関わっていた100名程度の集団の、6ヶ月後にどのくらい免疫が変わっているのかを報告したデータがあるが、年齢が高い人ほど、中和抗体ないし結合抗体の低下が大きいことが分かってきている。

 要は、高齢者ほどワクチンを打っても免疫が下がりやすい、感染のリスクが高まっているということだ。もちろん高齢者の免疫がどれだけ持つかは、個人差があるので一概には言えない。

 【「高齢者施設でクラスターがたくさん起こり、重症者が増えることを懸念している」】

 しかし平均値で見ると、6ヶ月後の免疫が下がりやすい傾向がある。したがって感染もしやすいということが、色々なところから報告されている。高齢者施設だと、特に多数の方が感染するリスクがある。

 横浜市では、これまで100以上の高齢者施設でクラスターの発生を確認している。我々としては、高齢者施設でクラスターがたくさん起こり、高齢者の方が感染し、その中から一部の方が重症化し、重症者が増えることを懸念している。

 ワクチンの3回目接種は、薬事承認では「2回目接種から、少なくとも6ヶ月が経過した後に、3回目の接種を行うことができる」とされている。一方、現在の国の見解は「例外的に6ヶ月に短縮した接種が可能である」としている。

 「例外的に」の解釈が、近日中に(政府から)説明される可能性があると思うが、我々としては高齢者施設について、自治体の判断による、6ヶ月の短縮接種を例外的に認めていただけないかと考えている。

◇─[後記]───────────

 山中市長は以前は横浜市大医学部教授で、新型コロナのワクチン効果についての研究成果を発表しています。つまり医学的な知見に基づいた成果を根拠とし、状況判断した結果の「前倒し」の要請であり、その主張は介護事業者にとっても傾聴に値すると思います。

 厚労省にはぜひ、山中市長の主張を踏まえた上で、3回目のワクチン接種の「前倒し」が可能な具体的な範囲について、早急に示してもらいたいと思います。

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