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*****令和3年10月13日(水)第603号*****

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国の研究機関・新型コロナ感染の後遺症「患者の約4人に1人が半年後も後遺症がある」
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 国の研究機関である国立国際医療研究センター(以下「NCGM」)は10月8日、新型コロナウイルスに感染した後の遷延症状(=後遺症)について、患者を対象としたアンケートの調査結果を発表した。

コロナワクチンの後遺症予防効果あり NCGMは「新型コロナ患者の約4人に1人が、感染後半年が経過した後も、何らかの後遺症があることや、軽症者であっても後遺症が長引く人がいる」等と指摘し、これを踏まえ「2回のワクチン接種は、後遺症予防にも有効」等と公表した=画像・NCGMのHPより。赤色の下線は弊紙による加工

 今回の調査では、新型コロナの感染患者457名から回答を得た。回答者の多く(84.4%)は軽症者(酸素投与を必要としない患者)だった。調査結果の要旨は、次の通り。

 ■1.男性と比べて、女性の方が倦怠感、味覚・嗅覚障害、脱毛が出現しやすく、若年者ほど味覚嗅覚障害が出現しやすい。

 ■2.患者の、約4人に1人が感染後、半年経過した後も何らかの後遺症があることや、軽症者であっても後遺症が長引く人がいる。

 ■3.さらなる研究が必要だが、2回のコロナワクチン接種は、新型コロナに感染した際の後遺症を予防する観点からも、有用な可能性があると考えられる。

 【新型コロナ感染の6ヶ月後に、約8割は「元に戻った」が、一部では強い後遺症が…】

 これまで国内外の報告から、新型コロナに感染した際に後遺症があることは確認されてきたが、国内の複数の調査では、中等症以上の患者512 名が、退院後3ヶ月の時点で肺機能低下(特に肺拡散能)が後遺症として残っていることが報告されている。

 また、軽症者を含む525名では、新型コロナ感染の診断後6ヶ月の時点で、約80%は「感染前の健康状態に戻った」と自覚していたが、一部の症状が後遺症として残ると、生活の質の低下、不安や抑うつ、睡眠障害の傾向が強まることが指摘されていた。

 特に、嗅覚・味覚障害が認められた119 名は、退院後1ヶ月までの改善率は、嗅覚障害60%、味覚障害84%だった。 感染後半年以上追跡した疫学調査報告や、後遺症が出るリスクの調査は少なかったため、今回NCGMが「後遺症のリスク因子に関する調査」を実施した。

 【2回のワクチン接種は、発症予防や重症化予防だけではなく後遺症予防にも効果が…】

 調査結果を踏まえ、NCGMでは「今回の研究では調査していないが、コロナワクチンを2回接種していた人は、新型コロナに感染した後に、その症状が28日間以上は残りにくいことがわかった」

 「このことからコロナワクチンは、発症予防や重症化予防だけではなく、後遺症の症状の予防にも寄与する可能性があることが報告されており、今後の重要な研究課題と考えられる」等と述べている。

◇─[後記]───────────

 今回の調査では、年齢別の詳細な分析結果までは報告されていないため、高齢者層に限定した後遺症の状況までは不明ですが、やはり新型コロナに感染してしまうと、後遺症が残るリスクが高いことだけは間違いないようです。

 全国的に新規感染者数が減少しているとはいえ、後遺症のリスクを避けるためにも全国の介護事業者には、サービス利用者である高齢者の、徹底した感染防止対策を継続していくことが求められそうです。

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