*「最適な介護」を実現するための情報紙*
_/_/_/_/_/日本介護新聞ビジネス版_/_/_/_/
*****令和3年10月5日(火)第597号*****

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岸田首相・介護職員の所得向上「報酬を抜本的に見直すため、実現会議を設置する」
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 自民党の岸田文雄総裁は、10月4日に開催された臨時国会で第100代首相に選出された。岸田氏は、自民党総裁に就任した9月29日の記者会見で「介護職員の給与は、国が率先して引き上げを考えたらどうか」と述べた。

岸田首相就任会見 これを踏まえ、首相就任直後の記者会見=写真・首相官邸HPより=でも改めて、介護職員の所得向上(=報酬の改定)に触れ、自らが目指す経済政策「成長と分配の好循環」を実現するために掲げた、4つの「分配戦略」の第3点として言及した。

 さらに、この「分配戦略」を推進するため、新たに関係者や有識者を交えた「実現会議」を設置することを明らかにした。「介護職員の所得向上」の内容も、この会議で検討されることになる。

 これらの点に関する、記者会見での岸田首相の発言と、記者との質疑応答の要旨は次の通り。

 【介護士等の所得向上に向け「公的価格(=報酬)の在り方を、抜本的に見直す」】

 ▼岸田首相=まずは(新型コロナの治療や感染拡大防止に向き合っている)医療、保健あるいは介護、こういった現場の最前線で奮闘されている方々や、感染対策に協力してくださっている事業者の方々、そして国民の皆様方に深く感謝を申し上げさせて頂きます。

 次に、私の経済政策について申し上げてさせて頂く。私が目指すのは、新しい資本主義の実現だ。「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」、これがコンセプトだ。

 (この中の分配戦略では)第1は、働く人への分配機能の強化だ。企業で働く人や下請企業に対して成長の果実、しっかり分配されるよう、環境の整備を進めていく。第2に中間層の拡大、そして少子化政策だ。

 中間層の所得拡大に向け、国による分配機能を強化する。第3に、公的価格の在り方の抜本的な見直しだ。医師、看護師、介護士、さらには幼稚園教諭、保育士など、社会の基盤を支える現場で働く方々の所得向上に向け、公的価格の在り方を抜本的に見直す。

 第4の柱は、財政の単年度主義の弊害是正だ。科学技術の振興、経済安全保障、重要インフラの整備など、国家的な課題に計画的に取り組んでまいりたい。

 【公的価格の抜本的な見直しのため「実現会議を設置して、ここで検討していく】

 ◆記者からの質問=先ほど総理は「新しい資本主義の実現会議を作る」とおっしゃったが、この実現会議のイメージについて伺いたい。どこか有限に期間があって、そこで最終報告を出して終わりなのか、それとも岸田内閣が続く限りずっと常設としてあるのか?。

 どのようなイメージなのか? どういう提言を出されることを想定しているのか?

 ▽岸田首相=「新しい資本主義の実現会議」は、成長と分配の好循環を作っていく、成長が重要であるということ、これはもちろん言うまでもないが、その成長の果実をどう分配していくのか、こういった点が重要になる。

 民間においても、それぞれの民間企業であったりサプライチェーンにおいても様々な努力が求められる。それを補うための公的な政策とか、公的価格の見直しとか、こういった取組を進めていかなければならない。

 こうした具体的な課題について是非、関係者・有識者にもしっかりと意見を聞かせて頂き、国民の皆様の様々な知恵を頂きながら、この「成長と分配」を実現していく、こういった取組をリードして頂く会議を設けさせて頂ければ、と思っているところだ。

◇─[後記]───────────

 これまで介護職員の所得向上(=処遇改善)はまず、厚労省と財務省との折衝があり、最終的に政治判断により決定してきましたが、岸田内閣ではこれを「抜本的に見直す」ことになり、新たに設置される「実現会議」で検討されることになります。

 ただ今までと全く違うのは、岸田首相が明確に「介護職員の所得向上」を目標に掲げていることで、その議論のため設置される「実現会議」である、という点です。どのような方々が会議のメンバーになるのか……、まずはこの点に注目したいと思います。 

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