*「最適な介護」を実現するための情報紙*
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*****令和3年9月14日(火)第584号*****

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科学的介護Life「現場ではまだ、活用法が整理されておらず『伴走型』で運用すべき」
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 より効果的・効率的な介護保険サービスの提供を進めるため、令和3年度の介護報酬改定で「科学的介護情報システム( Long term care Information system For Evidence )」(以下「Life」)が創設され、そのデータベースの運用が今年4月から始まった。

Lifeの活用検討調査 これを踏まえて、今後のLifeの活用に向けた課題の検討を行うための調査=画像・厚労省HPより。黄色のラインマーカーは、弊紙による加工=を行うが、この内容を検討した有識者から「現場ではまだ、Lifeの活用法が整理されていない。Lifeを使ったから、すぐに(サービスの質等が)良くなるというものではない」

 「現場で、どのように活用できるのか等を『伴走型』で運用していかないと、道具(Life)は用意したが、それが現場で使われないままで終わってしまう可能性もある」等と課題が挙げられた。

 9月10日に開催された介護報酬改定検証・研究委員会で、調査内容の検討にも携わった埼玉県立大学大学院の川越雅弘教授が述べた。川越教授はその一例として、Lifeから得られたデータに対し「リハ職・管理栄養士・ケアマネでは見る視点が違う」等と指摘した。

 同委員会での川越教授の指摘内容は、次の通り。

 Lifeの活用について委員会で議論した際に「Lifeを使ったからすぐに(サービスの質等が)良くなる、というわけではないので、現場と『伴走』しながらLifeを活用していこう」という方針になった。

 例えばケアマネジャーは、Lifeというデータベースを目の前にした時に「自分たちの業務に、どのように活かすのか? 活かすことができるか?」と考えるだろうが、まだ頭の中で整理されていないのが実情だろうと思う。

 Lifeにより「同じ物差し」で測定されたデータが用意されていることは、極めて大事なことだ。しかしそれ以前に、例えば栄養士とリハ職では、同じデータを違う視点で分析し、評価している。

 例えば現場で「(介護サービスの利用者の)食べる行為について、何とかしてあげよう」と考えても、リハ職と栄養士、またケアマネジャーでは見る視点が違う。この「お互い、見ているところが違う」ことが、意外と現場では確認されていない。

 つまり、介護の現場はまだ分業の世界で、本当に「利用者のために何をするか」と「そのために何が必要か」をそれぞれが確認して、そこからそれぞれの「思考」に落としていかないと、このようなデータが集まっても「使いこなせない」ことになりかねない。

 つまり、キチンと「データが整備される方向」と、それらのデータを活用していくという「やり方の方向」と、両方をセットで整理をしていかないと「道具(Life)は用意したが、それが使われないままで終わってしまう」ことになりかねない。

 結果的に、現場の仕事の負担が増える可能性が十分に考えられる。このため今回は「伴走型」で「こういったデータを、利用者のためにどう活用しようか?」という視点で調査を行う。コーチングをしながら、活用の仕方を一緒に学んでいく必要がある。

 これらは委員会で、委員の先生方から出てきた意見であり、実際に私もそう思っている。

◇─[後記]───────────

 川越教授の指摘は、介護業界とは関係のない方からすれば「当たり前」と思われるかも知れませんが、弊紙では以前から「Lifeを活用するためには、最も重要な指摘」だと考えていました。

 このLifeを実際に運用しようとすれば、現場ではかなりの負担増が予想されます。今回の調査で様々な課題を浮き彫りにし、全国の多くの事業者が「使いこなせる」システムに進化するよう、厚労省をはじめとした関係者にはぜひ「伴走」して頂きたいと思います。

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