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*****令和3年9月13日(月)第583号*****

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高齢者のワクチン3回目接種「抗体価を測定し、接種必要者を早く見極める必要がある」
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 新型コロナワクチンで、3回目の接種が話題となっているが、わが国の免疫学の第一人者で、大阪大学の宮坂昌之名誉教授は「高齢者や持病があり免疫力が低い人は、抗体価を測定することにより、3回目接種が必要な人を早く見極める必要がある」等と指摘した。

 9月9日に開催された、東京都の新型コロナ感染症モニタリング会議(都専門家会議)に宮坂氏はWEBで参加し、意見を述べた。宮坂氏は「ワクチンを『打たない』という選択肢はない」との立場から、都専門家会議で次の4点を主張し、その根拠を説明した。

 ■1.高齢者や、持病があり免疫力が低い人の3回目の接種の必要性については、抗体価を測定することにより、接種の必要者を早く同定する(見極める)必要がある。

 ■2.その他の人たちでは、抗体価が下がっていても新型コロナに対する免疫能力はかなり維持されていると思われる。このため、3回目の接種を広く行うよりも、未接種者をできるだけ減らすとともに、2回接種者をできるだけ多くすることが必要であろう。

 ■3.交差(混合)接種は、広げるべきだ。

 ■4.3回目以降の接種は、免疫の原理から考えると、接種量を減らしても大丈夫なはずだ。ただし、小規模でいいから臨床試験が必要だ。

 【65歳以上はワクチンを接種しても抗体がうまくつくれないが、個人差が大きい」】

大阪大学・宮坂教授の指摘 この中の「1」について宮坂氏は、ワクチンを接種した人の抗体量を調査した結果として「65歳以下ではおおむね良く抗体を作るが、70歳を過ぎると抗体産生量が下がる傾向があり、85歳以上では抗体産生量がきわめて低い人がいる」=画像・東京都HPより。黄色のラインマーカーは、弊紙による加工。

 「ただし、個人差が大きいことに注意。つまり65歳以上は(ワクチンを接種しても)抗体に個人差があるために、3回目の接種が必要な高齢者を、抗体量を測定することで見極める必要があり、リスクがある世代であることは間違いない」等と指摘した。

 【諸外国の研究事例から「交差接種は、極めて有効だ」】

 また「3」の交差接種について宮坂氏は、諸外国の研究事例として、アストラゼネカ社製ワクチン(以下「アストラ」)を2回連続で接種した場合と、2回目をモデルナ社製ワクチン(以下「モデルナ」)で接種した場合の、抗体量を比べた研究事例を取り上げた。

 ここでは「アストラ+アストラ」よりも「アストラ+モデルナ」の方が強い免疫が誘導され「85%の人で、変異株でも中和できる抗体が産生がみられた」等と紹介し「交差(混合)接種は広げるべきだ」と主張した。

 【ワクチン接種から時間が経過し「抗体価は下がっているが、免疫は維持されている】

 さらに「2」について、ワクチンを接種して時間が経過することで「抗体価が下がる」と言われている点について、宮坂氏は「われわれは抗体以外にも、コロナに対する免疫を発揮するしくみ(=細胞免疫)がある」

 「これは今回、測定していないので『抗体価が下がっている』というのは少し心配なデータではあるものの、細胞免疫はずっと何ヶ月も体内に残るので、私は抗体価が下がっている人でも、コロナに対する免疫は強く維持されていると考えている」と指摘した。

 これを踏まえ「3回目の接種を行うことは一つのアイデアだが、3回目が必要な人たちを同定する(見極める)必要がある。しかし、私がそれよりも重要だと考えるのは『未接種者の数を、できるだけ減らすこと』だ」

 「特に2回の接種者をできるだけ多くすることができれば、ウイルスを飛ばす人の数を減らすことができるので、ブレイクスルー感染(ワクチンを接種したにも関わらず、新型コロナに感染すること)も起こりにくくなる」

 「つまり(この考え方に立てば)交差接種は進めるべきである」と指摘した。

 【3回目接種でモデルナ社は、ワクチン量が1回目・2回目の「半量」で認可を申請】

 「4」については、宮坂氏は「免疫の原理から考えると、ブースター接種(追加接種)は(1回目や2回目と比較して)接種量を減らしても大丈夫だ。これについては、モデルナ社が一部でデータを公表している」

 「『全量』の代わりに『半量』、あるいは『1/4量』にまで減らしてワクチンを打っても『ブースターの効果は、同じである』と言っている。これを踏まえてモデルナ社は、3回目の接種を『半量で行う』ことで、諸外国で認可を求めている」

 「これを踏まえ、日本でブースターを実施する際は、小規模でも良いから臨床試験を行うべきだと考えている」等と主張した。

◇─[後記]───────────

 宮坂名誉教授は、わが国の免疫学の第一人者であるにも関わらず「当面は、ワクチンは打たない」と公言したことで注目されました。その後、コロナワクチンが「従来ワクチンとほぼ同じレベルの副反応であることが分かった」と述べました。

 そして今では「打たないという選択肢は、ない」との立場から、ワクチン接種を積極的に推進しています。その道の第一人者でさえ、このように考え方が変わるほど、やはり新型コロナワクチンの取り扱いは難しい点があるのも事実だと思います。

 しかし現在は、様々な専門家の意見をみても、宮坂名誉教授の主張通り「3回目の接種の推進より、まずは2回の接種を十分に広げることが重要」であり、結果的にこれが「高齢者を新型コロナの感染から守る」ことにつながりそうです。

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