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*****令和3年9月7日(火)第579号*****
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医科と歯科が連携し「口腔機能の低下が、認知症の発症リスクと関係あるか?」を研究
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 認知症の専門医の間でこれまで、高齢者が認知症を発症する際に「口腔機能の低下が、リスクの一つではないか?」との仮説が唱えられてきたが、これを本格的に研究するため、医科と歯科の専門医が協定を結んだ。

調印式 日本老年精神医学会(池田学理事長=大阪大学大学院教授)は9月7日、プレスセミナーを開催してこの中で、歯の欠損に対する治療を行う専門医の学会・日本補綴(ほてつ)歯科学会(馬場一美理事長=昭和大学歯学部教授)との共同研究について調印を行った=写真・WEB会見より。上段が池田理事長、下段が馬場理事長

 池田理事長は、以前から両学会の専門医の間で「口腔機能の低下は、認知症の発症リスクのファクター(要素)として、ほぼ間違いないのではないか? との共通認識があった」と前置きした。

 その上で「両者が同じ感想を抱き、そこで今回、歯科の専門医の方々に『認知症の専門医との連携の状況と課題を、アンケート調査で尋ねてみよう』ということなった。逆にわれわれの学会の専門医にも尋ねてみようとなり、今回の研究協定を結ぶことになった」

 「これは、われわれにとっては第1歩で、現在は『口腔機能の低下が、認知症の発症リスクではないだろうか?』との研究が少しずつ進んでいるが今後は共同研究でエビデンスを確立し、認知症の発症を予防していこうという壮大な計画を持っている」等と述べた。

 【「70歳代後半で12.5本の歯を失い、大臼歯1本失うと咀嚼機能が50%低下する」】

 また、馬場理事長は「70歳代後半の高齢者になると、およそ12.5本の歯を失うと言われている。また大臼歯(歯列の一番後方にある歯で、通常は食物を噛み潰し、挽く用途で使われる歯)を1本失うと咀嚼(そしゃく)機能が50%低下する」等と説明した。

 そこで「今回の日本老年精神医学会との共同研究で、われわれの知見を活かして、認知症の発症予防に寄与していきたい」等と抱負を述べた。

 【「咀嚼機能が維持されていると、認知機能も維持されやすい」】

 セミナーで、日本介護新聞は池田理事長に「今回の医科歯科の連携により例えば、高齢になっても口腔機能が低下しないか、または維持できれば、認知症の発症リスクも低下するのか?」と質問した。

 これに対し池田理事長は「そこまで証明するのは難しいと思うが、今回の共同研究は『本当に発症のリスクと関係があるのか?』等を検証するのが、一番の狙いだ」等と回答した。本紙の質問に対する、池田理事長の回答は次の通り。

 「発症リスクが減るのか?」という研究までは、なかなか難しいと感じている。ただ「認知症の症状が悪化しにくい」というようなエビデンスは、現在でもかなり整ってきている。

 例えば、キチンと口腔ケアが行き届いていたり歯が保存されていると、誤嚥性肺炎になる確率が非常に低くなる。さらに咀嚼機能が維持されていると「認知機能も維持されやすい」ということは、エビデンスとしてかなりあると思う。

 これをもとにして、今回は医科と歯科の縦断的な研究を実施して「本当に、発症のリスクと関係があるのか?」等を検証するのが一番の狙いだ。

◇─[後記]───────────

 認知症の発症リスクは、今回取り上げた「口腔機能の低下」以外にも「嗅覚の衰え」等、様々な要因が指摘されているそうです。認知症の全国的な予防活動を促進するためにも、ぜひ早期に研究成果を発表してもらいたいものです。

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