*「最適な介護」を実現するための情報紙*
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*****令和3年8月16日(月)第564号*****

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「処遇改善の対象の有無が、介護職員の処遇差を生じ、ケアの質にも影響していないか?」
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 介護職員の処遇改善加算は、厚労省が実施する「介護従事者処遇状況等調査」の結果を踏まえて実施されるが、その調査対象として施設系では、介護保険施設(特養・老健・介護医療院など)と、特定施設(特定施設入居者生活介護事業所)が含まれる。

処遇改善調査の対象一覧 有料老人ホームでは、介護付き有料老人ホームに加え、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)で特定施設の指定を受けている事業所などは調査対象となるが、それ以外の施設は外れることになる=画像・厚労省HPより。黄色と緑色のラインマーカーは、弊紙による加工。この点について、専門家から疑問が提起された。

 7月28日に開催された介護給付費分科会で「令和3年度・介護従事者処遇状況等調査」の調査内容がテーマとなったが、委員として出席した日本慢性期医療協会の田中志子常任理事は「処遇改善加算の対象となっていない施設の実態も、調べる必要がある」

 「調査の結果(対象施設と対象外施設の)介護職員の処遇等に差があるようであれば、施設入居者に対する、ケアの質にも差が出てくる可能性がある」等と指摘した。

 【全国の有料老人ホームで、特定施設の指定を受けているのは全体の3分の1程度】

 厚労省によると、全国の有料老人ホームのうち特定施設として指定を受けているのは「全体の3分の1程度」という。このため指定を受けていない、残りの約3分の2の有料老人ホーム(住宅型やサ高住等)に勤務する介護職員は処遇改善加算の対象となっていない。

 このため、処遇改善加算の改定の効果を調べる調査からも、対象外となっている。田中委員は「今回の調査では(すでに内容が固まっているので、住宅型やサ高住等の介護職員を調査対象に含めることは)難しいかもしれないことは承知している」

 「しかし、今後はサ高住や住宅型有料老人ホームなども調査対象として検討していく必要があるのではないか」と問題提起した。これに対し厚労省の担当者は「介護保険の対象外となっている施設については、こうした処遇改善と、なかなか関係がしにくい」

 「そのような理由で、対象外となっている」等と説明した。これに対し田中委員は「介護職員の処遇によって、サービス利用者にデメリットが生じないような対策を講じる必要がある」等と、問題点を強調した。

 【「サ高住や住宅型にも、特定施設などと同様の利用者が入居しているケースが多い」】

 田中委員は、この問題を提起した理由について「今回の調査は、対象は処遇改善加算の対象事業者に限られている。つまり(特定施設でない)サ高住や住宅型有老は入っていない。一方で厚労省は、4月1日に『有料老人ホームの設置運営標準指針』を発令した」

 「ここでは『認知症の研修を、サ高住や住宅型有老の職員も受講するように』というガイドラインが出されており、7月1日から適用されている。これらの施設の入居者は、処遇改善加算の対象事業所の利用者と、同様の利用者や患者が入られていることが多い」

 「今回の調査が、介護職員の処遇や状況に、処遇改善加算等がどう影響しているかという目的であれば、今後は(特定施設でない)サ高住や住宅型有老なども調査の対象として検討していく必要があるのではないかと考えている」

 「このような調査は、ほぼ毎回『前回同様』という方法で繰り返しているが、例えばサ高住の数は急増しているにも関わらず、このように増えている施設がいつまでも調査対象に入ってこないという状況になると思う」等と説明した。

 これに対して厚労省からは、明確な回答はなかった。

◇─[後記]───────────

 田中委員が指摘した「処遇等に差があるようであれば、ケアの質にも差が出てくる可能性がある」との指摘は、非常に重要なテーマですが、どうやら今回の「令和3年度調査」で取り上げられることは難しいようです。

 一般の方々からみれば、介護付き有老・住宅型有老・サ高住の違いを理解することは困難で、いずれも「有料老人ホーム」として認識されているケースが多いと思います。利用者側の目線に立てば、やはり「ケアの質」が最も重視されるはずです。

 できれば今回の調査で「ケアの質」を解明するための、手がかりとなるような調査項目をぜひ、何等かの形で盛り込んでもらいたいものです。

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