*「最適な介護」を実現するための情報紙*
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*****令和3年7月20日(火)第548号*****

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コロナ下での介護施設の面会・厚労省が現行基準で実施可能な「ガイドライン」を示す
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 新型コロナの感染拡大の影響により、介護施設での入居者と家族との面会等は制限されているが、高齢者向けのワクチン接種が進んでいることもあり、介護業界関係者から「面会制限の解除」を求める声が高まっている。

 現状では厚労省は「ワクチン接種した方の面会制限解除については、政府の新型コロナ感染症対策本部による『感染症対策の基本的対処方針』の改正がなければ、厚労省としても方針を示すことが困難な状況」との姿勢を崩していない。

 しかし、各種の研究機関で「面会制限の継続による認知症の進行や、入所者のADLの状態の悪化がみられる」等の指摘が出されており、介護業界関係者から厚労省に対して「面会に関する新たな基準を示すべき」との要望が出されている。

 これらの動きを受けて、厚労省は7月19日、都道府県等に対して「高齢者施設等における、面会に係る事例集および留意事項等の再周知について」と題した連絡文書を発出し、管轄する高齢施設等への周知を依頼した。

対面での面会実施事例 内容は「現行の基準の中で、どこまで面会が可能であるかをわかりやすく示したもの」で、実質的に「現状でも、ココまでなら実施可能」という「ガイドライン」を提示した形となっている=表・厚労省HPより。黄色のラインマーカーは、弊紙による加工

 内容は「対面での面会を実施する事例」「ガラス越しでの面会を取り入れた事例」「オンラインでの面会を取り入れた事例」の3パターンについて、それぞれの「好事例」を2~3ケースずつ示している。

 この「ガイドライン」中の、「対面での面会を実施する事例」で示した3ケースの概要は、次の通り。

 ■1.換気可能な相談室等で実施する場合

 ▽条件=予約制で1組3名まで(面会希望者が付き添いが必要な方等の場合は3名以上も可)で、面会時間 は15分。

 ▽実施方法=換気可能な相談室等で実施するが、看取りの場合は居室でも可能。窓・ドア等は開けて実施する。正面で向かい合うことは避け、1メートル以上の距離を保つ。面会者に飲み物を提供する場合は、面会前に玄関ロビー等で対応する。

 ▽施設側に求められる「工夫」等=家族に、事前に手紙等で注意事項を送付する。居住空間での見学要望に対しては職員が同行し、マスク着用で20分以内。窓は開放し、ドアの開閉やスイッチ等は職員が対応する。ただし、居室への入室は不可。

 ■2.専用スペース(ロビーまたは多目的室)で実施する場合

 ▽条件=予約制で、面会時間は30分以内。1組3人以内とする。

 ▽施設側に求められる「工夫」等=面会後は、消毒を徹底する。家族との外出も可能だが、スタンダードプリコーション(標準予防策)を徹底すること。

 ■3.デイルーム等で、入居者と面会者との間に「透明シート」を設置して実施する場合

 ▽条件=予約制で、面会時間は1回当たり15分。実施前に家族に対して、施設側が用意した「チェックリスト」に必要事項を記載してもらう。

 ▽施設側に求められる「工夫」等=施設の入居者が少ない場合は、1日当たりの面会者人数等の制限は設けないケースもあり得る。ただし事前に家族に対して、施設長名でルールや注意事項を「お知らせ」すること。

◇─[後記]───────────

 この「ガイドライン」をみると、結果的には現行の基準内でも「面会時間は15分から30分で、可能な限り少人数とし、換気等に十分に注意」すれば「施設内の面会は可能」と読み取れます。

 しかし現実には「第5波」が始まっている現状では、各施設で「面会許可」を出すのは極めて難しい判断になると思われます。やはり「ワクチンを2回接種した後であれば、面会可能」とするのが、施設側にとって最もわかりやすい「基準」になると思われます。

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