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*****令和3年6月9日(水)第521号*****

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米国承認のアルツハイマー病新薬、田村大臣「画期的な方向の治療薬だ」と期待感示す
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 認知症の原因で、全体の6~7割を占めるといわれるアルツハイマー病で、その治療薬としてアメリカの食品医薬品局(FDA)は6月7日に「新薬の『アデュカヌマブ』の製造・販売の承認を、条件付きで決めた」と発表した。

 【弊紙・注=アルツハイマー病=脳に、アミロイドβとタウと呼ばれるたんぱく質がたまり、脳の神経細胞が障害を受ける。高齢者にみられる通常のアルツハイマー病では、遺伝的な素因と後天的な因子(生活習慣や生活習慣病など)の両者がある。

 この両者が複合的なリスクとなって、高齢者の認知症が発症するものと考えられている。「アデュカヌマブ」は、アルツハイマー病の進行に直接作用する治療薬として、FDAが世界で初めて承認した

6月4日田村大臣記者会見 これについて、田村憲久厚生労働大臣は6月8日の記者会見=写真は6月4日の記者会見の様子。厚労省HPより=で「昨年12月に、日本国内での承認申請もされており現在審査中だが、画期的な方向の治療薬だと思う」等と、今後の実用化に向けて期待感を示した。

 「アデュカヌマブ」は、アメリカの「バイオジェン」と、日本の「エーザイ」の両国の製薬会社が共同で開発した。両社は「アデュカヌマブ」の効果について「臨床試験で、18ヶ月でアミロイドβを59~71%減少させた」等と公表している。

 日本の製薬会社が開発に携わったことと、これがFDAで承認された点について、田村大臣は「一つの、大きな一歩だ」と高く評価した。これらの点に関する、記者会見の概要は次の通り。

 【田村大臣「今回の治療薬は、認知機能の低下を抑える点で画期的な方向の治療薬だ」】

 □記者=アメリカのFDA(食品医薬品局)が、昨夜(6月7日夜)アルツハイマー病の新薬の「アデュカヌマブ」の製造・販売の承認を決めた。この新薬については、認知機能の低下を抑える効果が期待されている。

 患者さんからも、かなり期待が大きいかと思う。一方で、国内では承認申請がなされているかと思うが、大臣のご所感と今後、国内での審査に対しての影響などについて教えて頂ければと思う。

 ■田村大臣=このFDAで「アデュカヌマブ」が承認されたという報道は、これは私も承知している。日本においては「バイオジェン・ジャパン」が昨年12月に申請をされておられるが、現在審査中である。

 いずれにしても、認知症に対する治療薬、どちらかというと、今までは「その後の症状を悪化させない」という話(効果)であったが、ある意味、今回の治療薬というのは、画期的な方向の治療薬だと思う。

 審査をしっかりやって、安全性・有効性を確認している最中なので、しっかりとそれを確認させて頂いた上で、対応という形になってくると思う。

 【田村大臣「FDAが承認したという点で一つの、大きな一歩なのだろうなと思う」】

 □記者=「画期的な新薬」が、エーザイという日本の製薬会社から生まれたことについてのご所見をお願いしたい。

 ■田村大臣=以前から認知症薬に関しては、我が国でいくつかの製薬メーカーが取り組んでおられた。アメリカのFDAで承認ということだが、そういう意味では一つの、大きな一歩なのだろうなと思う。

 いずれにしても、我が国においてはまだ審査の最中なので、そこはしっかりと審査をしていかなければならないと思う。

◇─[後記]───────────

 一般マスコミの報道によれば、この「アデュカヌマブ」の日本での承認について、厚労省の関係者は「年末頃ではないか」と述べているそうです。またFDAが承認の条件として「効果などを、さらに調べること」を求めているそうです。

 それでも「利益がリスクを上回る」との理由で、承認を決めたそうです。実用化となれば、価格等の面で課題が指摘されていますが、それでも「治療薬」としての期待は大きく医学関係者によれば、田村大臣の発言通り「大きな一歩となる」ようです。

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