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*****令和3年6月1日(火)第515号*****

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尾身会長「インド株は国内で45例、英国株の調査は止め、インド株へ資源をシフトすべき」
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 新型コロナで、現在最も懸念されているインド株の感染拡大について、政府の新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長は「インド株は国内で45例だが、英国株の調査はそろそろ止めてインド株へシフトすべきだ」等と、早急にインド株へ備える必要を強調した。

尾身茂会長 5月31日の参議院決算委員会で、立憲民主党の勝部賢志議員からの質問に答える形で指摘した=写真・参議院インターネット審議中継より。勝部議員は尾身会長に「日本国内におけるインド株の発生状況と、専門家としてそれをどのように分析しているのか、ご所見をお聞きしたい」と質問した。

 これに対する、尾身会長の回答の要旨は次の通り。

 【インド株は国内でまだ45例だが、徐々に増えており「覚悟」をしておいた方が良い】

 ■尾身会長=今は(新型コロナの感染では、従来株から)ほとんど英国株に置き換わってしまっている。私は(自治体等で実施している)変異株のモニタリング調査は、もうそろそろ、英国株ばかりに過度に集中することは止めるべきだと思う。

 それらの(調査を実施する)資源を、インド株にシフトすべきだと思う。現在のところインド株の感染は、先週金曜(5月28日)の時点で、全国で45例が確認されている。この中には、インドへの渡航歴のない方の感染も含まれる。

 実はこの45例が、徐々にその数を増やしている。そこで(インド株に置き換わった)英国の状況を参考にすると現在、日本国内で流行している英国株はいずれ、インド株に取って代わることが十分あり得ると、私は「覚悟をしておいた方が良い」と思う。

 【インド株の感染対策で最も重要なことは、感染例を低く抑えること】

 そういう中で、インド株への対応策は基本的には3つある。1つ目は(人流を抑える等で)感染拡大をなるべく抑えること。変異株が人間の体内でコピーされるのを防ぐため、感染例を低く抑えることが最も重要だ。

 そして2つ目は、インド株に対するPCR検査。現在もやっているがこのスピードを加速させることが必要だ。さらにPCR検査だけでなく、ゲノム検査(=遺伝子検査)も、現在は累積で5・6%くらいやっているが、こちらももう少しスピードを上げる必要がある。

 3つ目は(海外からの渡航者に対する)水際対策。これもしっかりやるのは当然だが、インドからの渡航者だけでなく、他の国からの渡航者からも十分(インド株の感染が)起こりえるので、このような情報が得られたら、その対策を迅速にやることが重要だ。

◇─[後記]───────────

 尾身会長は、マスコミのインタビューで「政策を決断するのは政治家の仕事で、私たち専門家の仕事は、政策を決断するための正確なデータと助言を与えることだ」と述べていました。

 その意味では現在、政府は東京五輪の開催を目前に控え「感染拡大」に関する情報の発信に二の足を踏んでいる感が否めませんだが、そんな中でも尾身会長は機会があるたびに「インド株の感染拡大の脅威」を訴えています。

 ここ数日、これまで多くの新規感染者を出してきた東京や大阪では、その数が減少傾向にありますが、ここは尾身会長の指摘通り、介護業界も「インド株による感染拡大を覚悟して、感染例をできるだけ低く抑える」ための対策を、早期に実施すべきだと思います。

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