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*****令和3年4月28日(水)第494号*****

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高齢者ワクチン接種で混乱、首相「7月末に終了を」都道府県「供給・配分予定示して」
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4月23日菅首相記者会見 高齢者のワクチン接種について、政府と自治体間で混乱が生じている。菅義偉首相は4月23日、首相官邸で記者会見し「希望する高齢者に、7月末を念頭に各自治体が2回の接種を終えることができるよう、政府を挙げて取り組んでいきたい」との方針を示した=写真・首相官邸HPより

 これに対し、政府からワクチンの供給を受ける都道府県側(=全国知事会)は、首相会見の翌日(4月24日)に「高齢者等への優先接種以降の一般接種分も含めた、より具体的な供給スケジュールや、配分量等について可及的速やかに示すこと」を提言した。

 政府はこれまで、ワクチン接種の「終了予定」については「現場の自治体(市区町村)の計画による」として一切、明確な時期を示してこなかったが今回、菅首相が高齢者の接種の終了時期に初めて言及した。これに全国知事会が「異議」を唱える形になった。

 【東京と大阪に「ワクチンの大規模接種センター設置」を発表したが……】

 また政府は、加藤勝信官房長官が4月27日午前の記者会見で「ワクチン接種を、国としても強力に後押しするべく『大規模接種センター』を東京・大手町に設置する。大阪府を中心とする地域も対象とし適切な支援も行う(=センター設置を検討する)」等と述べた。

 一般マスコミの報道によれば、政府は東京都のセンターで「1日1万人規模の接種を想定している」とされ、これに対し、有識者からは「そもそも(対象とされる1都3県の)高齢者が、交通機関を利用して会場まで行けると考えているのか?」

 「1日に1万人も高齢者が狭い接種会場に詰めかければ、それこそ『3密』になり感染の危険性がより高まるのではないか?」等の批判が出ている。4月23日の首相会見、4月24日の全国知事会の提言、4月27日の加藤長官の会見の、それぞれの要旨は次の通り。

 【4月23日・菅首相会見の要旨=「高齢者のワクチン接種を7月末までに終了を…」】

 ■ワクチン接種が始まっている。多くの方々に速やかに受けていただくため、できることは全てやる覚悟で取り組んでいる。ゴールデンウィーク明けまでには約700万回分、それ以降は毎週約1千万回分を全国の自治体に配布する。

 ■6月末までには、合計1億回分を配布できるようにする。その上で接種スケジュールでは、希望する高齢者に、7月末を念頭に、各自治体が2回の接種を終えることができるよう、政府を挙げて取り組んでいく。

 □(記者からの質問)大型連休明けから、全国各地で本格的にワクチンの接種が始まると思うが、総理の御発言の中で高齢者の接種を「2回目を7月末までに終えたい」とのお話があったが、地方からは打ち手不足だとか、準備の遅れを懸念する声がある。

 □武田総務大臣と河野大臣に「準備を加速するように」と指示をされたと思うが今、足りないこと、何を強化していくべきか、どういうお考えか、お聞かせいただきたい。

 ■地方自治体の皆さんはワクチンがなかなか、手元に来ることを、いつ来るのだということを、やはり非常に気にしていた。申し上げたように、ワクチンは(今後の)目途がしっかり立っている。そういう中で接種体制をしっかりつくり上げることをお願いする。

 ■その中で、やはり医師がいないところもあるし、あるいは看護師さんがいないところもある。そうした人員も含めて、必要なところには政府としては支援をさせていただきながら、7月末を目途に高齢者の皆さんには2回接種を終えたい、という思いだ。

 【4月24日・全国知事会の提言の要旨=「供給予定や配分量等を、速やかに示すこと」】

 ◆ワクチン接種は「国民の安全・安心を第一に進めていく」との基本姿勢に立ち、接種体制やシステムも含めた諸課題について、検証しながら丁寧かつ着実に進めること。また国として「いつまでに国民の何割の接種を目指すのか」を、早期に明らかにすること。

 ◆ワクチンの種類や量、供給時期等の情報を含め、現場で住民の理解を得てワクチン接種を円滑に進めるため、高齢者等への優先接種以降の一般接種分も含めた、より体的な供給スケジュールや配分量等について可及的速やかに示すこと。

 ◆高齢者への接種の本格化にあたって、地域間でも配分状況に差が生じている現状を十分に踏まえ、地域間で接種状況に過度なばらつきを生じさせることなく、各市町村が立案したスケジュールに基づいて全国で速やかに接種を完了できるよう適切に配分を行うこと。

 【4月27日・加藤長官会見の要旨=「国として後押しするため『接種センター』を…」】

 ▼新型コロナワクチンについて、接種を希望する方に1日でも早くワクチンをお届けできるよう、自治体と緊密に連携しながら全力を挙げて取り組んでいるが、本日(4月27日)菅総理から防衛大臣に対して、この件で指示があった。

 ▼東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県の1都3県におけるワクチン接種を、国としても強力に後押しするべく、自衛隊の医官や看護官等を活用した「大規模接種センター」を東京都に設置することとした。

 ▼開設目標を5月24日とし、3ヶ月間にわたり運営することとしている。同様に、人口が集中し、感染拡大が顕著である大阪府を中心とする地域を対象として、適切な支援も行うことについても指示があった。

 ▼今後、防衛省を始めとする関係省庁において調整を進め、予約方法など準備ができ次第、詳細については発表させていただきたいと考えている。

◇─[後記]───────────

 テレビの報道番組で、菅首相の「7月末に終了を」の発言を聞いた、関東のある市の担当者は「ウチにはまだ、明確な供給予定が示されていないのに、7月末は無理。おそらく9月までかかる」と、憤りの声を上げていました。

 全国の市区町村では、5月からの「本格接種」に向け接種の予約が始まっていますが、高齢者からは「ネットの予約方法がわからない」「予約の電話がつながらない」等の、混乱した状況が連日、マスコミで報じられています。

 「大規模接種センター」を設置する以前の課題として、政府にはまず、これら「現場の声」に耳を傾け、問題の解決に注力すべきです。

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