*「最適な介護」を実現するための情報紙*
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*****令和3年1月15日(金)第423号*****

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厚労省・病床ひっ迫時の対応「やむを得ず、施設内での入所を継続する場合もある」
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 新型コロナの感染拡大に伴い、全国で病床のひっぱく状況が深刻さを増す中で厚生労働省は、高齢者施設の入所者が感染した際に「やむを得ず、施設内での入所を継続する場合がある」として、その際の留意点等を通達した。

感染者が発生した場合の入所継続 1月14日に、厚労省が都道府県等に宛てて事務連絡文書を発出した=画像・厚労省が発出した文書より。黄色のラインマーカーは、弊紙による加工。昨年11月に出した事務連絡文書では、高齢者が感染した場合は「原則入院だが、感染が拡大して医療への負荷が高まっている中で、最大限努力した上でもなお、病床がひっ迫する場合がある」

 「この際、高齢者等のうち『医師が入院の必要がないと判断した場合』は、宿泊療養(適切な場合は自宅療養)としても差し支えない」と述べていた。これを踏まえ、今回は「施設に入所している者についても、やむを得ず施設内での入所を継続する場合がある」

 「しかしこの場合、高齢者施設の構造設備や人員上、適切なゾーニングが困難な場合があること等の、高齢者施設の特性等を勘案した上で、都道府県等において適切に判断いただきたい」と指摘している。今回の、都道府県等と高齢者施設への要請事項は次の通り。

 【都道府県等への要請事項の概要】 

 ▼高齢者施設への「入所継続の指示」は、可能な支援や当該施設の個別の状況(構造・人員等)も考慮し、留意点を踏まえた支援体制を整えることを前提とした上で、指示を行うこと。

 ▼「入所継続中」は、モニタリングと医療への迅速なアクセスの確保が重要であり「入所継続の指示」を行っている施設であっても、症状の悪化・急変の徴候が認められる場合には「入院」を行うこと。

 ▼積極的に「行政検査」(=無償のPCR検査等)を実施すること。特に、濃厚接触者と有症状者には全例検査を行う。無症状かつ濃厚接触に当たらない場合でも、可能な限り広範囲に検査を行うこと。

 ▼特に集団感染が疑われる場合には、同一棟または同一施設の入所者及び職員の、原則全員に対して検査を実施することを、積極的に検討すること。

 ▼施設の特性・構造等に係る情報収集、介護職員の応援・物資の供給等について(都道府県等が)組織的な対応を行うこと。

 ▼(国がこれまでに示している)感染管理専門家の派遣・人員確保等に活用できる支援策を、積極的に活用すること。

 【高齢者施設への要請事項の概要】

 ▽生活空間等の区分け、いわゆる「ゾーニング」を実施すること。保健所や派遣された感染管理専門家と相談し、施設の構造や入所者の特性を考慮した上で、対応すること。

 ▽入所者の健康管理等について、健康管理の方法や、症状に変化があった場合等の相談先を含めた連絡・報告フロー等の対応方針を、都道府県等に予め相談・確認し、同方針に従って対応すること。

 ▼濃厚接触者となった職員は、最終的な曝露(=例えば、感染者が近くで咳やくしゃみをした、感染者の飲み物や食器を共有した等)の日から14日間自宅待機とし、健康観察の結果、症状の出現がなければ就業可とする。

 ▼濃厚接触者とならなかった職員には「就業制限」をかける必要はないが、状況を踏まえて施設で判断する。マスク着用や手指衛生等の感染対策を徹底するとともに、発熱と症状を確認しながら就業することは可能である。

◇─[後記]───────────

 「緊急事態宣言」の対象地域が拡大する等、感染の勢いが止まらない中で、現在は「病床のひっ迫」が全国的な課題となっています。高齢者施設でも「感染者が発生しないこと」が、最も望ましいことです。

 しかし現状では、施設が最大限に「感染防止対策」を施していても「感染者は、施設内で発生する」ことを前提として「やむを得ず、施設内での入所を継続する場合」の対策も、事前に講じておく必要がある時期に入ったのかも知れません。

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