*「最適な介護」を実現するための情報紙*
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*****令和3年1月13日(水)第421号*****

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介護施設のクラスター発生現場より「国には、現場に即した対応を」
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介護給付費分科会・感染対策の強化策 新型コロナの感染者が急増している現状で、実際に感染のクラスター(感染人数が5人以上)が発生した自治体から、国(厚労省)に対して「現場に即した対応」を求める声が上がった=画像は、厚労省が公表した「令和3年度介護報酬改定に関する審議報告の概要」の中の「感染症や災害への対応力強化」の項目。黄色のラインマーカーは、弊紙による加工

 1月13日に都内で開催された介護給付費分科会の第198回会合で、全国市長会を代表して委員として参加している、大西秀人・高松市長が「窮状」を訴えた。大西市長は高松市の特養で先週、感染者が50人を超える大型のクラスターが発生したことを報告した。

 この特養の施設内の対応に加え、併設しているショートステイやデイサービスの受け入れが中止になり、行く先がなくなった利用者への対応に「苦慮」している現状を述べた。またこの対応に伴うかかり増し経費が「想定以上に増大している」ことも指摘した。

 【介護給付費分科会における、大西市長の発言要旨】

 ▼本日、11都府県に「緊急事態宣言」が発出されるが、感染拡大の終息が見られない中で、介護サービスの提供体制の確保が、今後は大きな課題となっている。実は市内でも先週、特別養護老人ホームで、職員・入所者合わせて50人を超えるクラスターが発生した。

 ▼これにより、新規入所者の受入れはもちろん、ショートステイの受け入れ中止、併設されたデイサービスの営業中止が余儀なくされている。中でも、デイサービスが営業中止になったことで、行く先がなくなった利用者への対応に大変苦慮している。

 ▼さらに現場では、感染者の入院措置がまだ出来ておらず、いまだに調整中だ。しかも、陽性であった施設入所者を、陰性であった施設職員が介助しているような状況で、当市としてはその対応に追われている。

 ▼さらに細かな点を申し上げれば、衛生用品の不足や、職員の宿泊費用など、感染防止対策に係る「かかり増し費用」が想定以上に増大している。当市では、このような「緊急的な状況」になっているが、これにどのように対処すべきか……。

 ▼危機管理として「あらかじめ想定しておくべき」だと、今では痛感している。今、懸命に対応しているが、国としても現場に即した「かかり増し経費」の補助額設定や、あるいは「医療と看護の連携による危機管理の在り方」等、さらなる制度設計を検討して頂きたい。

◇─[後記]───────────

 弊紙では、今回の介護給付費分科会で、この大西市長の発言が最も強く印象に残りましたので、今回の記事に取り上げました。まさに「現場からの悲痛な声」だと感じます。特に、クラスターが発生すれば「想定外」のことが次々と起きる点は、非常に重要な指摘です。

 全国の介護施設では現在も、全力で感染防止対策に当たっていると思いますが、もはや1施設だけでは「防御」は難しいのかも知れません。大西市長が指摘する「医療と看護の連携による危機管理」を含め、早急な対応策の構築が、全国の自治体に求められそうです。

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