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*****令和2年12月23日(水)第410号*****

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介護従事者の「虐待」件数、増加傾向に歯止めかからず「過去最高」を更新
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 厚生労働省は12月22日、介護事業所等の従事者による「虐待」の、令和元年度の調査結果を公表したが、市町村や都道府県が「虐待」と判断した件数(=「虐待判断件数」)は644件で「相談・通報件数」は2,267件と、いずれも「過去最高」だった。

高齢者虐待件数が年々増加 なお644件のうち、35件は「虐待」を受けた高齢者が特定できなかった。この35件を除いた(=609件)被虐待者の総数は1,060人だった。平成18年度調査結果からの件数の推移をみても、増加傾向に歯止めがかからず、ほぼ毎年度「過去最高」を更新し続けている=グラフ・厚労省発表資料より

 調査は、特養や老人ホーム等の施設系サービスや、居宅系サービスに従事する職員を対象とした。同調査は、平成18年4月に施行された「高齢者虐待防止法」に基づき、全国の市町村や都道府県で行われている。

 今回公表された「虐待判断件数」は令和元年度に、報告を受けた自治体が「虐待」と判断した事例が計上された。このうち介護事業所等の従事者による「虐待」は、都道府県と市町村が共同で調査・判断した事例と、都道府県が直接受理して判断した事例を含む。

 また「相談・通報件数」は同様に、令和元年度に市町村が相談・通報を受理した件数。「虐待判断件数」644件のサービス種別の内訳は、件数の多い順(カッコ内は全体における割合)に、上位は次の通り。

 1.特養=190件(29・5%)
 2.有料老人ホーム=178件(27・6%)
  <内、住宅型=90件(14・0%)>
  <内、介護付=88件(13・7%)>
 3.グループホーム=95件(14・8%)
 4.老健=72件(11・2%)
 5.通所介護等=28件(4・3%)
 6.訪問介護等=21件(3・3%)

 さらに、644件(=1,060人)の「虐待」の内容(複数回答)は、件数の多い順(カッコ内は全体における割合)に次の通り。

[1]身体的虐待=637件(60・1%)
[2]心理的虐待=309件(29・2%)
[3]介護等放棄=212件(20・0%)
[4]性的虐待=57件(5・4%)
[5]経済的虐待=41件(3・9%)

 全体の6割を占める「身体的虐待」とは、暴力的行為、高齢者の利益にならない強制による行為、代替方法を検討せずに高齢者を乱暴に扱う行為、「緊急やむを得ない」場合以外の身体拘束などが該当する。

 【家族等による「虐待」も「高止まり」状態が続く】

 一方、高齢者の世話をしている家族・親族・同居人等の「虐待判断件数」は1万6,928件で、前年度調査より321件とやや減少したものの「相談・通報件数」は3万4,057件と「過去最高」を更新し、いずれも「高止まり」状態が続いている。

◇─[後記]───────────

 以前、大手の老人ホーム経営者が「虐待」対策の講習会で「残念ながら、虐待はどんな施設・事業所でも『起きる』ことを前提に、対策を考えなくてはならない」と、来場者に訴えていました。

 本来は「虐待は、ゼロ」でなければいけませんが、これも残念ながら「まずは、増加傾向に歯止めをかけ、減少に転じる」ことが、介護業界に課せられた当面の「責務」であると思います。

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