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*****令和2年12月4日(金)第397号*****

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介護事業所、倒産件数は「年間最多」を更新し、休廃業解散は「過去最多」を大幅に更新か
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 今年(2020年)の老人福祉・介護事業所の倒産件数は、12月2日時点で「年間最多」を更新し、休廃業・解散件数は「過去最多」を大幅に更新する見込みであることが判明した。信用調査大手の東京商工リサーチが、12月3日に「集計途中」として発表した。

 【倒産件数は112件で「年間最多」の111件を上回る】

東京商工リサーチ12月2日時点倒産件数 これによると、今年1月から12月2日まで老人福祉・介護事業の倒産が112件に達し、介護保険法が施行された2000年以降で、これまで最多だった2017年と2019年の111件を上回り「年間最多」件数を更新した=グラフ・東京商工リサーチHPより

 112件の内訳は「訪問介護事業」が52件(構成比46・4%)と半数近くを占めた。また第2位はデイサービス等の「通所・短期入所介護事業」で、36件(同32・1%)と昨年の32件をすでに上回っている。

 東京商工リサーチでは「従業員5人未満が75件(同66・9%)、負債1億円未満が90件(同80・3%)と、小・零細事業者を中心に推移している」と分析している。また今年10月までは「国や金融機関などの、新型コロナ支援で踏みとどまっていた」

 「(11月以降に)コロナ支援の効果が薄れ、介護業界でも息切れの兆しがうかがえる」と分析している。

 【休廃業・解散件数は406件で「過去最多」の445件を更新するペースで推移】

 一方、休廃業・解散件数は12月2日時点で406件。今年の残り2カ月を残して昨年(2019年)の通年件数・395件をすでに上回った。東京商工リサーチは「このペースで推移すれば、年間最多だった2018年の445件を、大幅に上回る可能性が高い」と指摘している。

 現時点の総括として同社では「新型コロナの影響や人手不足などで先行きが見通せず、廃業を決断するケースも増えており、コロナ禍で感染防止のため利用手控えが増え、売上高が落ち込む一方、費用負担が高まっている」

 「さらに第三波が襲来し、再び老人福祉・介護事業者は難局を迎えている。追加支援や2021年度の介護報酬の改定状況によっては、倒産や休廃業・解散がさらに加速する可能性も出てきた」との見通しを示している。

◇─[後記]───────────

 過去、同社の分析で「介護事業に新規参入してきた事業者が、事業計画の甘さ等が原因で倒産・休廃業するケースが多い」と、たびたび指摘してきました。しかし今年の場合は、明らかに「コロナ渦」の影響が大きいようです。

 「事業計画が甘い」事業者が倒産することは、ある意味で「仕方ない」かも知れませんが、特に地方で「コロナ渦」で倒産した介護事業者に頼る以外に選択肢がないサービス利用者は「深刻な事態」に陥ります。

 仮にそのような状況に直面すれば、最終的には介護保険の保険者である市区町村が「調整」することになりますが、そんな局面に至る前に、国や都道府県は何らかの「対策」を早急に講じる必要があります。特に、今年は「待ったなし」になりそうです。

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