*「最適な介護」を実現するための情報紙*
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*****令和2年12月1日(火)第394号*****

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「介護医療院に入所する前の、早い段階で『本人の意思』を確認することが重要」
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 医療依存度が高い入所者を施設が受け入れた場合、要介護度も高いケースだと看取りについて本人が参加したカンファレンス(=話し合い、以下「ACP」)が難しくなるため「早い段階で本人を交えて話し合うべきだ」等と、日本介護医療院協会の鈴木会長が指摘した。

 日本慢性期医療協会(日慢協)が12月1日に開催した定例記者会見で、日本介護医療院協会(鈴木龍太会長=鶴巻温泉病院理事長・院長)が、会員に対して行ったアンケート調査結果を公表したが、この中のACPの実施状況を尋ねた結果から判明した。

介護医療院看取りカンファレンス ここでは「本人が参加したACPができたか?」と尋ねたところ、今年4月から6月までの期間で、会員が実施した延べ1933回に渡るカンファレンスのうち、本人が参加したACPは26回で、全体に占める割合は「1・3%」にしか過ぎなかった=画像・日本介護医療院の発表資料より。「1・3%」「7%」の黄色のラインマーカーは、弊紙による加工

 鈴木会長はこの点を、自ら院長を努める鶴巻温泉病院で詳細に調べたところ、28回のカンファレンスのうち、本人が参加したACPは2回で、全体の割合は「7%」だった。またACPで話し合った内容を、鶴巻温泉病院で調査した結果、次のような内容になった。

 ■ACPで話し合った内容(鶴巻温泉病院調査から)
 1.看取りの場所=11回
 2.蘇生処置=18回
 3.救急病院への搬送=2回
 4.栄養手段=9回
 5.病状・現状説明=3回

 これを踏まえて日本介護新聞は、鈴木会長に「全体でACPが『1・3%』というのは低い印象を受けるが、この点を会長はどのように受け止めているか?」と質問した。これに対し鈴木会長は、次のように回答した。

 ▼介護医療院でお引き受けする利用者の、要介護度の平均が4・3くらい。認知症の方も多いのが実情なので、ACPを実践しようとしても「ご本人がその場(=カンファレンスの場)でキチンと話すことが難しい」ということが、今回の調査でわかった。

 ▼厚労省はACPを「日本全体で進めて欲しい」との方針を掲げているが、それを本当に実践するのであれば、介護医療院や終末期の病床等に至った段階で行うのではなく、それ以前の急性期や回復期の病床に入院している段階で行うべきだ。

 ▼または、かかりつけ医に診療してもらっているような、地域包括ケアの段階で行うのが「本当の姿」ではないかと、私は思う。
  
 【介護医療院は、看取りやターミナルケア等の医療機能も持つ「生活施設」】

 介護医療院は、要介護の高齢者の長期療養・生活のための施設で、平成30年4月に創設された。長期的な医療と介護のニーズを併せ持つ高齢者を対象とし「日常的な医学管理」や「看取りやターミナルケア」等の医療機能と「生活施設」としての機能を兼ね備えた施設。

 それまでの介護保険施設は、特別養護老人ホーム(特養)・介護老人保健施設(老健)・介護療養型医療施設(介護療養病床)の3種類があったが、このうち介護療養病床が廃止となるため、介護医療院がその後を引き継ぐ形になった。

 日本慢性期医療協会は、介護医療院の制度の創設に伴って、日慢協から派生する形で「日本介護医療院協会」を発足させた。現在は、介護療養病床から介護医療院への転換促進を図るため、両協会が連携して取り組んでいる。

◇─[後記]───────────

 介護関連の施設では、介護医療院が最も医療と密接に連携しているため、カンファレンスでの「本人参加」の割合も高いだろうと、これまで弊紙では考えていたため「1・3%」には驚きました。

 実は、弊紙発行人は母親が以前に老健に入所した経験があり、この時に任意で、ACPに関する質問への回答を書面で求められましたが「まだ、そういう時期(=終末期)ではないから」と言って断りました。

 しかし今後、高齢になるにつれて医療依存度が高まるでしょうし、そもそもACPは「意思決定能力が低下する場合に備える」ことも目的の一つですから、介護サービスの利用を始めた時点から「本人や家族が向き合うべきもの」なのだと、本日の記者会見で痛感しました。

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