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*****令和2年10月6日(火)第357号*****

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技能実習生「保証金はない」約9割、例え預けても「全額返金された」約7割
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 技能実習生が、自らの意思に反して劣悪な労働環境で働き続ける原因の一つに「保証金」の存在が指摘されているが、日本での実習を終えて帰国した元実習生に尋ねたところ「保証金等はない」と回答した人は87・4%だった。

補償金の有無等 外国人実習機構が10月2日「技能実習制度に関する調査」の令和元年度版を公表し、この中で指摘した。同調査は毎年実施されており「保証金はない」と回答した人はここ数年増加傾向にあり、今回の87・4%は過去最高となった=グラフ・外国人技能実習機構の発表資料より

 【「保証金はない」と回答した人の割合】=上のグラフのえんじ色部分
 ▽平成27年度=77・8%
 ▽平成28年度=83・0%
 ▽平成29年度=83・2%
 ▽平成30年度=81・5%
 ▼令和元年度=87・4%

 一方で「保証金を預けた」と回答した人は9・5%で、この回答者に対して返還状況を尋ねたところ「全部返還された」と回答した人は69・8%となった。こちらは前回の平成30年度調査の72・8%に次いて、過去2番目の高さとなった。

 【「全額返還された」と回答した人の割合】=下のグラフの濃い水色部分
 ▽平成27年度=64・5%
 ▽平成28年度=63・3%
 ▽平成29年度=66・1%
 ▼平成30年度=72・8%
 ▽令和元年度=69・8%

 また調査を実施した、外国人技能実習機構によると「保証金」とは「技能実習生本人または親族などから送出機関や監理団体に預ける金品・不動産などを指し、実習生本人が失踪した場合等に、それら機関に対する保障に充てられるもの」

 「なお、日本への渡航費用などの工面のために行う借金のことではない」と定義している。同調査は、技能実習を修了した全ての技能実習生(平成30年度までは技能実習2号を修了した技能実習生)のうち、令和元年8月から 11 月までの間に帰国した人が対象。

 その全体数は2万4789人(中国・ベトナム・インドネシア・フィリピン・タイ)で、有効回答者は7096人。回答率は28・6%だった。調査は、対象者の所属する監理団体(または企業単独型実習実施者)に対し、回答方法の案内書を送付した。

 調査対象者は 帰国後に調査票に回答し、母国から外国人技能実習機構調査事務局に調査票を返送、または母国からオンラインにより回答した。回答は無記名で、多肢選択方式(一部自由記述欄あり)。

◇─[後記]───────────

 この調査で外国人技能実習機構はおそらく「保証金を預けて来日する技能実習生は全体の1割に過ぎず、この1割の人も『全額返金された』のが約7割におよぶ。そもそも保証金は『借金』ではない」と主張したいものと思われます。

 「本当にそうなのか?」と疑問が浮かびます。そもそも調査の対象者が実習を終えて「無事に帰国した外国人材」です。外国人技能実習機構が本当に「保証金は、技能実習制度の問題要因ではない」とするのであれば「帰国後」ではなく「入国時」に調査をすべきです。

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