*「最適な介護」を実現するための情報紙*
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*****令和2年9月17日(木)第346号*****

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介護実習生の増加傾向に「試験評価者の不足」が課題に浮上
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 技能実習制度の介護職(以下「介護実習生」)で、実習1年目(=技能実習1号)の修了を判定する初級評価試験の受験者数が増加しているが=昨日付けの弊紙で既報=今後、受験者数の増加傾向が続いた場合に、次の4点が課題として浮上している。

 【課題1=受験者数の増加に、試験評価者数の増加が追い付かない】

 初級評価試験の今年7月の受験者数は650人だったが、その前月の6月の受験者数は1142人だった。これは、新型コロナウイルスの影響で、4月と5月の試験が全国的に延期され、制限が解除された6月の試験に待機受験者が殺到したためと思われる。

4月1日現在評価者数 評価試験の運営に当たるシルバーサービス振興会によれば、今年4月1日時点の試験評価者は1144人=表・黄色のラインマーカーは弊紙による加工=で、各都道府県で受験者と評価者の数にバラツキはあるものの、6月の試験では受験者数と試験評価者数がほぼ同数になり「制度の運営上、大変厳しい状況」に陥った。

 同振興会では「全国の評価者の皆さんのご協力を得て、なんとかこの危機を乗り切れた。受験希望者が『試験評価者が確保できずに、受験ができなかった』という事態は、どうにか避けることができた」という。

 しかし、現状では試験評価者の数が「急激に増える」見通しはなく、毎月500~600人前後が受験するとみられる初級評価試験の受験者は「試験評価者の確保」にも留意しなければならない状況が、今後も続くものとみられる。

 【課題2=試験評価者の数に、地域的な偏在傾向がみられる】

 今年4月1日時点の試験評価者1144人を都道府県別でみると、数の多い順に東京126人、広島87人、大阪81人、神奈川56人と続く。逆に数の少ない順では島根2人、青森・山形5人、新潟6人となっている。

 現在、大都市圏では受験者の増加に対応できているが、評価者の数が少ない県では今後、受験者が増加した場合に対応できるのかが、大きな課題となっている。

 【課題3=試験評価者の数が、なかなか増加しない】

 そもそも試験評価者は原則的に、同振興会が運営する「介護プロフェッショナルキャリア段位制度」の評価者(=アセッサー)であることが求められている。このアセッサーが「介護技能実習評価試験」の「試験評価者養成講習」を受けて、正式に評価者となる。

 今年3月31日の時点で、アセッサーの数(講習修了者)は2万5115人いるが、4月1日時点の評価者の数1144人は、アセッサー全体のわずか4・5%にすぎない。アセッサーの資格を取得しようとする人の主目的は「キャリア段位制度」にある。

 このため日常業務で、介護実習生との関わりが薄いアセッサーは「試験評価者講習」の受講が考慮の対象になりにくい。さらにアセッサーは「キャリア段位制度」では、自らが所属する介護事業所の「キャリア段位のレベル認定」に携わることができる。

 しかし「介護技能実習評価試験」制度でのアセッサーは、例えば自らの事業所に介護実習生が所属していても、この実習生の「評価試験」を行うことが制度上できない。介護実習生は、自らが所属する事業所以外で、試験評価者から評価を受けなければならない。

 この点が、アセッサーの有資格者が試験評価者の講習を「積極的には受講しない」理由の一つと考えられている。また、この受験者と評価者のマッチングは同振興会で行うため、試験の受験日時や場所など、必ずしも介護実習生側の「希望通り」になるとは限らない。

 【課題4=今後は、評価試験受験者が初級+専門級の2種別で増加する】

 同振興会は9月14日に「専門級試験の申込方法」を公表した。初級に対して専門級は、技能実習2~3年目(=技能実習2号)の終了試験に該当し、介護実習生が入国後24ヶ月を経過すると受験資格が得られる。

 関係者によると、介護実習生の第1号が入国したのが「2018年7月」と言われており、同振興会では「この秋から、専門級の受験申込がある」と想定して準備を進めている。このため「介護技能実習評価試験」は今後、初級+専門級の2種別で実施されることになる。

 同振興会では「当面は新型コロナの影響もあり、評価試験の受験者数が定まらない状況が続くと思われるが、自治体の中には独自に『試験評価者講習』を支援する動きも出始めている。これらの自治体と連携しながら、評価者の数の増加を図りたい」等と述べている。

◇─[後記]───────────

 今後、初級試験は新型コロナの影響で「入国制限」を受けた時期の介護実習生が受験時期を迎えるため、一時的に受験者数が減少することが予想されています。しかし今年6月に初級を受験した1142人は、来年末頃から専門級の試験を受験することになります。

 外国人の入国制限は、今後は徐々に緩和されていくものと思われますが、仮に来年末に「初級の受験者数が、毎月600人レベルまでに回復した」となると、初級+専門級の受験者数は1800人レベルにまで急増することが見込まれます。

 つまりこの時期から、受験者数が試験評価者数を上回る事態も危惧されます。この「難題」を解決するためには、今から対策を講じていく必要があると、弊紙では考えます。

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