*「最適な介護」を実現するための情報紙*
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*****令和2年9月15日(火)第344号*****

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認知症の人と家族の会「要介護になっても総合事業」の省令改正に、反対を表明
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パブコメ 「要支援者が要介護者となっても、本人の希望を踏まえて地域とのつながりを継続することを可能とする観点から、市町村が認めた場合には、要介護者であっても第1号事業(市町村が実施する総合事業)を受けられることとする」との省令改正=画像・黄色のラインマーカーは弊紙による加工=を、厚労省は進めている。

 現在、パブリックコメント(意見募集)をWEB・郵送・FAXで、9月23日を締め切りに受け付けている。これに、認知症の人と家族の会が「反対」を表明し、同会の鎌田松代理事が、9月14日に開催された介護給付費分科会の冒頭で「意見」として述べた。

 【介護給付費分科会での鎌田理事の発言要旨】

 ▽「在宅介護の限界点」を上げていくためには、在宅サービスの充実を図ることが必須条件だ。訪問介護・通所介護・ショートステイ等、基本的なサービスを安定的に供給することと、そのために介護スタッフを増やすことも重要だ。

 ▼しかし厚労省は、要介護認定になっても、訪問介護と通所介護の個別給付をすることなく「(市町村が実施する)総合事業にとどめておく」という省令改正を予定し現在、パブリックコメントを募集中だ。

 ▼私たち(家族の会)は、本当に驚いた。総合事業は、要支援を受けた人が対象で、提供されているのは訪問型サービスと通所型サービスだ。市町村の事業なので(サービス利用者が)事業所を選ぶことができない。

 ▽しかも「(利用者が希望する)必要なサービス回数を求めることが難しい」との声が、家族の会に届いている。新型コロナの流行では代替サービスがなく、休業している事業所もある、と聞いている。

 ▼残念なことに総合事業の(厚労省の)調査は今年度に実施され、全国的な状況がわかるのは「来年」と伺っている。省令改正では、要介護認定の人が、総合事業を利用するのは「利用者が希望した場合」「市町村が判断した場合」と(パブコメで)述べている。

 ▽しかしひとたび、市町村の判断で「個別給付をしなくても良い」「市町村が運営する総合事業で良い」となれば「在宅介護の限界点」に、アッという間に到達してしまう危険性が高いと、私たちは感じている。

 ▼また省令改正で、介護認定を受けても「個別給付をしなくても良い」というのは、介護保険の根幹にかかわることではないだろうか。家族の会は、この省令改正に反対であることを、この(介護給付費分科会の)場で申し上げたい。

◇─[後記]───────────

 介護給付費分科会では以前より「要介護度の低い、訪問介護・通所介護の利用者の、総合事業への移行」が議論の俎上(そじょう)に上がっています。これを実現するための「突破口」として、今回の省令改正が実施されようとしているのではないか……。

 家族の会が懸念しているのは、この点ではないかと思われます。パブリックコメントは通常、締め切りから2週間から1ヶ月後に、寄せられた意見と、それに対するコメント(今回の場合は厚労省)が全て公表されます。

 どのくらいの「反対意見」が集まるのか──この点に注目して、10月に実施されるであろう、結果の公表に注目したいと思います。

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