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*****令和2年9月10日(木)第341号*****

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「介護保険の福祉用具の範囲」で、新たな視点・指標を議論
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 近年IT技術が進歩し、情報機器も普及してきた中で、時代に即した介護保険の福祉用具等のあり方を議論する、厚労省の有識者会議「介護保険福祉用具・住宅改修評価検討会」の第2回会合が9月10日、WEB会議で開催された。

 前回の第1回会合(今年7月31日開催)では各委員が自由に意見を述べたが、これを踏まえて今回は、平成10年に出された「介護保険制度における福祉用具の範囲」の考え方に基づいた上で(1)有効性(2)安全性(3)保険適用の合理性について議論した。

福祉用具の有効性の評価 この中の「有効性」について、福祉用具の利用による具体的な効果として、従来は「介助者の負担軽減を含め、日常生活上の便宜・機能訓練に、どのような効果があるのか。また日常生活の自立に資する効果があるのか」等との視点から評価されてきた=画像・厚労省発表資料より。黄色のラインマーカーは弊紙による加工

 これに対し、この日の議論では「在宅生活を維持するのに役立つ、という指標もあり得るのではないか」との提案が出される等、IT技術等の進歩を踏まえた「新たな考え方」を模索する意見が相次いだ。

 具体的には、検討項目別に次のような意見が出された。

 ◆福祉用具の有効性の評価◆

 ▼バーセル・インデックス【=BI。ADL維持加算のアウトカム(成果)を評価する方法】は、介護の手間のかかり方の指標であって、自立度の改善を示すものではない。やはり「自立度の改善」を示す指標が、福祉用具の有効性を図るためには必要ではないか。

 ▼BIの値が、福祉用具で該当して評価につながることは少ない。そう考えると「在宅生活を維持するのに役立つ」という指標もあり得るのではないか。

 ◆福祉用具の安全性の評価◆

 ▼例えば、福祉用具の取り扱い説明書(取説)に「認知症の方の使用は避けるように」と書いてあっても、介護現場の判断で、認知症の方にも使用してもらうケースも多々ある。つまり、使用者に向けた取説以外に、流通事業者向けの取説も必要ではないか。

 ▼福祉用具を、どのような症状の方が利用するのかの「利用者像」を明確にした上で、取説に「安全性を担保する」ような書き方も必要ではないか。

 ▼実は、福祉用具では「事故」の定義がない。それぞれの「ローカルルール」で判断されているのが実情だ。この点からも「事故情報」はできるだけ「吸い上げる」必要がある。

 ◆保険適用の合理性の問題◆

 ▼福祉用具も、通信ができることで利便性が向上するメリットがある。また通信によりメーカーが、福祉用具のメンテナンスの状況を判断できる。個々のケースにより判断が必要だが、通信を利用することで情報の保護(接続の安全性や情報流出の防止)が必要だ。

◇─[後記]───────────

 この「介護保険福祉用具・住宅改修評価検討会」は、平成25・26・27年度は1回だけ開催し、28年度は開催されませんでした。そして29年度に1回だけ開催され、30年度と令和元年度の2年度に渡って開催されませんでした。

 それが現在の令和2年度には、第1回目を7月31日に、第2回を本日(9月10日)に開催し、厚労省は第3回目の開催を「10月中に予定している」と述べています。どうやら、福祉用具を巡る環境は、この令和2年度に「大きな動き」がありそうです。

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