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*****令和2年8月18日(火)第324号*****

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ニチイ学館・紆余曲折を経てTOB成立、株式上場廃止へ
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森社長3 介護業界最大手のニチイ学館(東京、森信介社長=写真)は8月18日、「投資会社子会社が当社株式の公開買い付け(TOB)を行った結果、成立した」等と発表した。8月17日までに、発行済株式数の約82%がTOBに応じた。ニチイ学館は今後、株式の上場が廃止となる。

 ニチイ学館は今年5月8日に「当社従業員が一丸となって事業構造改革の実行等に取り組むため」等として、国際的な投資会社ベインキャピタル(米国)の子会社が株式の公開買い付けを実施し「ニチイ学館は完全子会社となり、株式上場の廃止を目指す」等と発表した。

 その際に、投資会社子会社は1株1500円で、5月11日から6月22日まで公開買い付けを行い、株式買付の下限を「41・9%」と設定した。その結果は6月23日に発表され、翌24日に開催されるニチイ学館の株主総会で「完全子会社」の議決を得る予定だった。

 結果的には、予定より約2ヶ月遅れで「完全子会社」は実現したが、ここに至るまでには紆余曲折があった。まず、香港の投資会社が「1株2400円が適正である」等と主張して「1株1500円」の公開買い付けに異議を唱えた。

 また株式市場も、ニチイ学館の株価が公開買い付け価格の1500円を上回って推移し、この結果ニチイ学館は、公開買い付けの期限(6月22日)を3回に渡って延長するとともに、7月3日には公開買い付け価格を1670円に引き上げた。

 ニチイ学館を「完全子会社」とした、投資会社子会社の社長は杉本勇次氏で、2016年5月から現在まで、ニチイ学館の社外取締役をつとめている。ニチイ学館の森社長と寺田剛常務(当時、現在は副社長)は「当社の今後について、杉本氏に相談していた」という。

 最終的にニチイ学館は、株式公開買い付けによりMBO(経営陣が参加する買収)に成功した。

◇─[後記]───────────

 以前、介護事業大手の創業者が「当社はかつて株式を上場していたが、やりたいことが実行しづらくなったので廃止した。周りからは『銀行からお金が借りられなくなるぞ』と言われたが、全く問題なかった。結果的に、廃止して良かった」と発言したのを聞きました。

 この発言を信じれば、今回のMBOの成立でニチイ学館も「当社従業員が一丸となって事業構造改革の実行等に取り組む」ことが可能となります。同社はこれまで「訪問介護を成長戦略のエンジン」と位置付けてきましたが、これが維持されるのか注目したいと思います。

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