*「最適な介護」を実現するための情報紙*
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*****令和2年8月5日(水)第316号*****

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「技能実習生の失踪者全体に占める、ベトナム人の割合は約7割」
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 ベトナムの日本国内窓口である、在ベトナム日本国大使館が「異例」とも言える「呼びかけ」を、技能実習生の受け入れ事業者に行った。同大使館は8月3日「ベトナム人技能実習生の受入れに係る留意事項~受入企業の皆様にお願いしたいこと~」=画像=を発表した。

ベトナム大使館資料 「留意事項」で同大使館は、近年日本国内におけるベトナム人労働者が、技能実習生を中心に急増していることを述べた上で「不法残留者数・技能実習生の失踪者数・刑法犯検挙件数の、全てでベトナムが1位だ」

 「在留ベトナム人の増加を差し引いて考えても、ベトナムは他国と比して、これらの指標が高いと言わざるを得ない状況にある」と指摘した。具体的には次のようなデータを挙げて、現状を説明した。

 ▼【不法残留者数】=全体に占めるベトナム人の割合(今年1月1日時点)は18・8%で第1位。近年の在留ベトナム人の増加率は7・9倍だが、同期間の不法在留ベトナム人の増加率は14・0倍になっている。

 ▼【技能実習生の失踪者数】=2019年における技能実習生の、ベトナム人の失踪者数は6105人で第1位。第2位は中国人の1330人。これにより技能実習生の失踪者全体に占める、ベトナム人の割合は69・4%。

 ▼【刑法犯検挙件数】=在留外国人の刑法犯検挙件数(2019年)では、ベトナム人は3021人で第1位。第2位は韓国人の1795人。これにより刑法犯検挙件数におけるベトナム人の割合は33・0%。

 これらの現状から、同大使館では「問題点」とその「分析」として、次の3点挙げている。

 1、技能実習生の失踪等を招く要因は、ベトナム側、日本側双方にあるため、きめ細かい対応が必要。

 2、ベトナム国内の規定に従えば、訪日費用は50万円程度に収まるはずである。

 3、高額の訪日費用負担が、ベトナム人技能実習生の失踪リスクを高めている可能性がある。

 これらを踏まえ、同大使館では「ベトナム人技能実習生の受入れに際して、企業の皆様にお願いしたいこと」として次の5点を呼びかけ、要望している。

 ◆ベトナム人技能実習生は多くの場合「日本で職業スキルを身に付けたい」「家族の生活をより良いものにしたい」という夢を持って訪日しており、初めから失踪や犯罪をするつもりで訪日する技能実習生はいません。

 ◆このため企業の皆様に、法令を遵守し適切な労働条件を確保して頂くことはもとより、これらベトナム人技能実習生の思いに寄り添って頂くことで、多くの失踪等を防げるものと考えています。

 ◆しかしながら、企業の皆様に上記の取組をして頂いてもなお、高額な借金を背負って訪日した場合、「もっと稼げる仕事がある」という誘惑に駆られやすくなり、失踪や犯罪のリスクが高くなってしまいます。

 ◆このような失踪や犯罪は、技能実習生本人にとっても不幸なことですが、受入企業にとっても人材確保コストを押し上げるだけではなく、コンプライアンス上の問題にもなりかねません。

 ◆このため、ベトナム人技能実習生を受け入れている企業の皆様におかれましては、以下の確認(=技能実習生が約50万円以上の費用を支払っていないか等)を通じて、より適切なルートで技能実習生を受け入れて頂くよう、お願いいたします。

 そして「留意事項」では最後に「送出機関を見極めるポイント」を挙げて「適切なルートでの技能実習生を受け入れ」を再度、呼びかけている。

◇─[後記]───────────

 弊紙では、技能実習制度に介護職を加えるために厚労省が有識者会議を設置した時から、この問題を取材しています。その頃はすでに、技能実習生を巡る様々な問題は「事件」が起きるたびに、一般マスコミが報じていました。

 当時、弊紙が最も疑問に思っていたのが「なぜ、実習生の送り出し国は、問題点の改善を求めて日本政府に抗議をしないのか?」という点でした。その後、弊紙では監理団体や実習生の受け入れ事業者を取材して、おぼろげながら「原因」が見えてきました。

 まだ、事実関係の取材が不十分なため「原因」の確証には至っていませんが、その「原因」の一つとして弊紙が考えているのが「送出し国の政府が、自らの国で起きている『誤り』を認めようとしない」ことです。

 それが今回、ようやくベトナム政府も「技能実習生の失踪等を招く要因は、ベトナム側、日本側双方にある」と、自国にも「原因」があることを認めました。これまでの経緯からすれば「考えられない発表」で、そのため今回の記事の冒頭で「異例」と記しました。

 これを機に、ベトナム政府が「制度の改革」に真剣に取り組むことを、弊紙でも切に願います。それは必ず、日本の技能実習制度の全体、さらに介護技能実習制度の健全な発展につながるはずです。

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