*「最適な介護」を実現するための情報紙*
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*****令和2年6月24日(水)第291号*****

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「急性期病院に、介護士やリハ職員がいることで、患者は早く日常生活に戻れる」
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 慢性期医療の現場から急性期病院に対し、入院短縮化と、急性期病棟への「基準介護・基準リハビリ制度の導入」を要請した。日本慢性期医療協会(日慢協、武久洋三会長=写真)が6月24日、定例記者会見をWEBで行い、この中で指摘した。

武久会長 日慢協は同日、総会を開催して役員改選では、武久会長と副会長5名の全員を再任(留任)した。これを受けて武久会長は、日慢協の「2020年行動提言」を10項目示し、これも総会で承認された。急性期病院への要請は、この中の1項目として盛り込まれた。

 武久会長は「急性期でも、高齢者の患者は約75%を占める。この高齢者の急増に十分に対応できていないことが、昨年秋にNHKの『クローズアップ現代』という番組で取り上げられた」

 「そこでは、身体拘束が行われている場面が映し出され『高齢者は特に、夜間に徘徊などがあり、看護師が対応できない』といった事例が放映されていた。これは急性期の現場で、高齢者が非常に増えている状況に対応できていない、ということだ」

 「急性期病院の中に、看護師の他に介護職員やリハビリ職員がいて、治療だけでなく、介護やリハを行うことで、患者はより早く日常生活に戻れる。このため日慢協では基準看護だけでなく、2019年から『基準介護・基準リハビリ制度の導入』を提言している」

 「言い換えれば『要介護を生み出している急性期の現場から、できるだけ要介護者が出ないようにするべき』という提案だ」等と説明した。日本介護新聞は、武久会長が「基準介護・基準リハビリ」を2019年から提言していることを踏まえ、その進捗状況を質問した。

 本紙と武久会長の、質疑応答の内容は次の通り。

 ◇本紙=会長は「基準介護・基準リハビリ」を以前から提唱されているが、現在に至るまでの進捗状況をどのように捉えているか?

 ◆武久会長=「基準介護・基準リハビリ」の考え方は、2019年8月の定例記者会見で発表した。これは以前よりも高齢者の患者が増え『非常に手間がかかる』ことが背景にある。ある急性期病院では夜中、車イスに乗った高齢者が3~4人、職員の詰め所に置かれていた。

 ◆そんな状況が(NHKの番組で)放映されていた。その理由を職員に尋ねると「病室にいると危険なので、ここ(職員の詰め所)で見ている」と答えていた。実はこんな状況が、急性期では頻繁にある。この現実に対し、夜勤する看護師さんは大変気の毒だと思う。

 ◆以前より「手間がかかる」患者はどんどん増えているのに対し、ここ15~16年間、7対1の基準の看護師さんの数は変わっていない。従って「基準看護」は「介護も含めて看護師が全てをみる」ことになっているが、現実は介護に手がかかると看護がおろそかになる。

 ◆このため、身体拘束をしたり、膀胱に管を入れる等の対応をして「安全性を保っている」のが、残念ながら「現状」だ。これに対しNHKもこれを番組で取り上げ、問題視した。病院のリハビリは、外来患者よりもほとんど入院患者のリハビリをしている。

 ◆それにも関わらず、リハの職員は「リハ室」にいて、そこから病棟に通っている。または病棟から患者さんが「リハ訓練室」に通っている。それなら病棟に、例えば40人の入院患者に対し10人のPTやOTがいれば「4人に1人」をみることができる。

 ◆そうすれば四六時中、例え5分でも10分でも、簡単な作業やサポートの仕方を教えることができる。しかもPTやOTだけでなく看護師や介護士も、全員で協力体制がとることができる。これにより患者さんは、早く良くなって、早く在宅に復帰できる。

 ◆このことを、患者が急性期病院にいる段階でサポートしておくことが非常に重要だ。また高齢者は入院中、夜中に2~3回はトイレに行くのが生理的に当たり前だ。ところが現実に、40人の患者のうち30人が頻繁にトイレに行っていたら、事故の危険性も高まる。

 ◆そこで40人の患者に対し、10人程度の介護職員がいてくれると、夜勤する看護師さんは「大変ありがたい」と言う。実際に日慢協の会員の病院では、PTやOTに夜勤をしてもらったり、昼間に病棟を訪れたり、常駐させている事例はたくさんある。

 ◆そこで成果が上がっているので、日慢協は正式に、厚労省に「基準介護・基準リハビリ」を申し入れたいと考えている。その結果として、急性期病院から他の施設に移った時に「要介護になってしまう」ということを防げるのなら、介護保険の収支バランスも良くなる。

 ◆(急性期をはじめとした病院の)現場の状況は「20年前とは全く異なっている」ことを、厚労省にもご理解頂いて、ぜひ対策を講じて頂きたく、継続して「基準介護・基準リハビリ」を提案している次第だ。

◇─[後記]───────────

 日慢協の武久会長は「日本の寝たきりを半分にする」ことを目標とし、その実践策として「生涯リハビリテーションの推進」を挙げています。回復期だけでなく急性期、さらに高度急性期であっても「リハを導入すべき」と主張しています。

 残念ながら弊紙では、PTやOTの職能団体は取材をしていませんが、ぜひこれらの団体とも連携し「生涯リハビリテーション」や「基準リハビリ・基準介護」を実現してもらいたいと思います。

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