*「最適な介護」を実現するための情報紙*
_/_/_/_/_/日本介護新聞ビジネス版_/_/_/_/
*****令和2年5月29日(金)第273号*****

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専門家会議・提言「物資の確保は『福祉ルート』を確立すべき」
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 介護業界で衛生用品が不足している現状への対策として、政府の専門家会議は「十分に供給されるよう、政府において必要量を確保すべき」と指摘し、さらに都道府県に対して「これを適切に配分するための『福祉ルート』を確立すべき」等と提言した。

 5月29日に開催された、政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」を公表し、この中で指摘した。専門家会議は「感染状況が比較的落ち着いている今こそ『次なる波』を見据える必要がある」

 「そのためには、これまでの取組や緊急事態宣言に関する現時点における評価を行った上で、これまで実施された個別の対策についても課題の抽出を行うとともに、今後必要となる対策の方向性について検討を行い、政府に対して提言を行うこととした」等と述べた。

 専門家会議はこの中で、介護関係では「高齢者・障害者施設等における施設内感染対策」として、次の4項目を挙げて、具体的な提言を行った。

 1、施設内感染が発生した場合の人材確保
 2、物資確保
 3、感染発生時における施設内での感染対策の強化
 4、代替サービスの確保

 各項目の要点は、次の通り。

 【1、施設内感染が発生した場合の人材確保】人材不足に備えた対策が肝要となるが、一部の都道府県ではこうした事態に備えて、あらかじめ公募によるサービス提供者を確保・派遣するスキームを構築している。

 また一部の自治体では、近隣の施設からの派遣が受けられるよう公益社団法人(経営者会)において、関係団体に派遣依頼を行うといった対応をしている。各都道府県においては関係団体等と連携し、地域の実情に応じた人材確保策を講じるべきである。
 
 【2、物資確保】現在、医療機関に優先的に配布されている衛生・防護用品が、高齢者施設・障害者施設等の福祉サービスを提供する施設・事業所に対しても十分に供給されるよう、政府において必要量を確保すべきである。

 それとともに、各都道府県において各施設等のニーズを把握し、適切に配分するための「福祉ルート」を確立すべきである。
 
 【3、感染発生時における施設内での感染対策の強化】感染者を施設内で療養させることはハイリスクであり、限定的であるべきであるが、都道府県においては、感染した利用者を施設内で療養させる場合に備える必要がある。

 その場合、ゾーニングなどを行う感染管理の専門家や医療スタッフの派遣方法、必要な物品の確保方法の検討、サービス提供者への研修等の事前準備を行っておくことが望ましい。なお、高齢者は重症化するリスクが高いことから原則は入院となる。

 また、高齢者・障害者施設等においてクラスターが発生した場合には、関連する利用者や職員などを、速やかにPCR等検査や抗原検査を実施して、適切な感染管理を実施できるよう体制を整えてく必要がある。
 
 【4、代替サービスの確保】クラスター感染が生じた通所系の事業所の多くは、一定期間事業を縮小・休業している。一部の都道府県では、濃厚接触により自宅待機となった利用者への代替サービス(訪問系、通所系)を提供する、事業者の公募による確保を行っている。

 また、利用人数を制限して事業を実施する場合に、事業所外で代替サービスを実施する場合の支援なども行っている。各都道府県においては、地域の実情に応じた代替サービスの確保策等を講じるべきである。

 なお、代替サービスを担う事業者が、積極的にサービス提供できるよう、政府においては、こうした利用者に対して早期にPCR等検査ができるよう、優先的に検査すべき対象者の整理及び検査態勢の拡充を図るべきである。

 特に障害者の中には、マスク等を着用したサービス提供が困難な方がいることにも、十分に配慮する必要がある。

◇─[後記]───────────

 提言の中の、介護に関する部分を一読した感想として「福祉ルートを確立すべき」以外は、特に「目新しさ」を感じる内容ではないなと思いました。それでも同会議が挙げた4項目は、早期の対策が必須なものばかりです。

 また現実に、具体的な対策を講じることが求められる都道府県は、自治体としての「体力差」があることも事実ですが「次なる波」はいつ、どこを襲うかわかりません。一刻も早い準備が求められます。

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