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*****令和2年5月19日(火)第265号*****

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「85歳以上で急性期病院に入院する患者は、高齢になるほど肺炎の割合が上昇する」
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 急性期病院に入院する患者は、高齢になるほど肺炎の症状を持つ割合が高くなるが、逆にがんの割合は減少傾向になる──85歳以上の「超高齢者」が入院した際に、どんな疾患を併存しているか、その特徴を明らかにした研究成果が公表された。

 順天堂大学は5月19日、同大学革新的医療技術研究開発センターの野尻宗子准教授らの研究グループが、全国の診療データを集約した「National Database (NDB)」を解析し「日本人における、高齢者入院患者の疾患の特徴を明らかにした」等と発表した。

順天堂大学研究成果 これによると、日本人におけるDPC病院(急性期入院医療を対象とした、診療報酬の包括評価制度を適用している病院)の入院患者(高齢者)の有病率と、疾患の併存状況について、次のように説明している=グラフ・入院患者(高齢者)の疾患の年齢ごとの違い。上が男性で下が女性・順天堂大学発表資料より

 ▼性別ごとの疾患(心疾患・がん・脳血管疾患・肺炎・腎疾患)の年齢による推移では、肺炎は高齢になるに従って上昇傾向にあり、一方でがんは、割合としては減少傾向にあった。それぞれの疾患の割合は年齢とともに変化している。

 ▼例えば、冠動脈疾患や脳血管疾患などの循環器疾患は増加傾向にある。さらに詳細な分析では、85歳以上の超高齢の入院患者では、男女ともに循環器疾患の有病率が高く、次に高血圧症と糖尿病が高いことが分かった。

 ▼また、脳血管疾患・糖尿病・心筋梗塞・呼吸器疾患・がんは男性で高く、リウマチ・大腿骨骨折・骨粗しょう症は、女性で高いことも明らかになった。次に主因子分析により、どのような疾患が併発しやすいかを解析したところ、次の5つのグループに分けられた。

 1=心筋梗塞、高血圧、脂質異常症、および糖尿病
 2=うっ血性心不全(CHF)、不整脈、腎不全
 3=パーキンソン病、認知症、脳血管疾患、肺炎
 4=がんおよび消化器系疾患
 5=関節リウマチおよび股関節骨折

 ▼以上の、大きく5つの疾患が併存するグループに分けられた。さらに、併存する疾患として85歳以上の超高齢の入院患者では上記に加えて、男性では主に、脳血管疾患・認知症・肺炎・統合失調症が多かった。

 ▼また女性では、肺炎・認知症・大腿骨骨折と骨粗しょう症が多く、続いて男性では骨粗しょう症、女性ではがん・消化器系疾患が入院に関連する疾患であることが明らかになった。

 以上の結果から、同研究グループでは「高齢者のかかりやすい疾患が明らかになっただけでなく、性別と年齢で異なることもわかった。この結果は、わが国における高齢者がどのような疾患にかかりやすいか、またどのような疾患が併発しやすいかを明らかにした」

 「これにより多角的観点から、医療資源の適正配分と効率に必要なデータとなることが期待できる。今後は高齢者における疾患構造の地域による差異などを明らかにし、地域での高齢者がなりやすい疾患の予防策を推進する基礎資料を作成する予定だ」等と述べている。

◇─[後記]───────────

 以前に、ある医科大学の教授から次のような話しを聞きました。「そもそも高齢者は複数の疾患を有しているが、これに対応する病院は、臓器別に診断して治療しようとする。今後の超高齢化社会に医療が適切に対応するためには、さらなる研究の積み重ねが必要だ──」

 今回の研究が、その課題解決に大きく貢献することを期待します。現在、介護業界では新型コロナの感染防止に全力で取り組んでいますが、今回の「高齢になるほど肺炎の割合が上昇する」との結果からも、超高齢者の新型コロナの罹患には、最大限の注意が必要です。

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