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*****令和2年5月8日(金)第258号*****

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介護業界最大手・ニチイ学館、投資会社が大株主となり「集団経営体制」へ
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 介護業界最大手のニチイ学館(東京、森信介社長=写真)は5月8日、投資会社である株式会社BCJ-44(東京、杉本勇次社長)が、ニチイ学館を「完全子会社」とすることを目的に、同社株式の公開買い付けを実施する、と発表した。

森社長 BCJ-44は、今回のニチイ学館の株式公開買い付けを行うために、今年4月23日に設立された会社で、杉本社長は現在、ニチイ学館の社外取締役を務める。またBCJ-44の直接の親会社は、国際的な投資会社であるベインキャピタル。

 ベインキャピタルは1984年に設立され、これまでに世界で450社の投資実績がある。日本では、東芝メモリ・日本風力開発・大江戸温泉物語等、17社の投資実績を有するという。現時点でベインキャピタルは、ニチイ学館の株式を保有していない。

 BCJ-44の公開買い付けは、5月11日から6月22日まで実施されるが、同社では株式買付の下限を「全株式の41・9%」に設定している。その結果は6月23日に公表され、6月24日に開催されるニチイ学館の株主総会で「完全子会社」の議決を得る予定。

 公開買い付けの成立後も、森社長は引き続きニチイ学館社長として同社の経営に当たり、創業家である寺田大輔副社長が退任して取締役も退き、寺田剛常務が新たに副社長に就任し、BCJ-44の杉本勇次社長は引き続き社外取締役となる予定。

 株主総会後に開催される、取締役会で決議する。記者会見の席で森社長は「企業価値向上のために、共通の目標を持つためBCJ-44に対して、直接または間接に出資することを検討している」と述べたが、具体的な金額や出資時期については「現時点では未定」とした。

 また、創業家である寺田大輔氏や寺田剛氏等も「同様にBCJ-44に出資を想定している」という。今回の公開買い付けが成立(=株式買付の下限設定である「全株式の41・9%」を上回った時)した後、ニチイ学館は株式の上場を廃止する。

 これによりニチイ学館は、同社創業者・寺田明彦元会長(昨年9月28日死去)の強力なリーダーシップによる、かつてのトップダウン経営から、森社長・寺田剛氏・杉本社外取締役等の「集団経営体制」に移行する。

 今回の、投資会社による株式公開買い付けに踏み切った理由について森社長は「現在進めている事業の構造改革の取り組みは、中長期的に見れば大きな成長が見込まれるが、それらの施策が早期に当社グループの利益に貢献するとは考えにくい」

 「また計画通りに事業が展開しない場合の、事業遂行上の不確定リスクに加え、短期的には収益性が悪化することも懸念しており、株式上場を維持したままでこれらの施策を実施すれば、当社の株主の皆様に対してマイナスの影響を及ぼす可能性も否定できない」

 「そこで当社の株主を公開買付者のみとし、当社従業員が一丸となって事業構造改革の実行等に取り組むことが最善の手段であるとの考えに至った」等と述べた。そして森社長と寺田常務は、2015年6月より同社の社外取締役を務めてきた杉本氏に相談したという。

 新たな体制になった後の、介護事業の経営方針について森社長は、大株主となるBCJ-44の意向として「重点エリアを設定し、主要な介護サー ビス拠点の分割や新規出店を推進すると同時に、M&Aを通じて積極的に経営基盤の拡大を実践する」等と説明した。

 特に大株主が投資会社となることから「データ分析に基づくドミナンス戦略立案や、M&Aのノウハウの提供等の支援を通じて、介護事業の成長に貢献できるものと考えている、とのことだった」等と述べた。

 質疑応答で日本介護新聞は「『重点エリア』は、具体的にどの地域を想定しているのか?」と質問したが、森社長は「現時点では未定だ。まだ施策は仮説の段階で、これから様々なデータ等をもって検証してから確定し、実行していく」等と回答した。

◇─[後記]───────────

 実は、この「公開買い付け」が発表されたのは、ニチイ学館の2020年3月期の決算発表会見の場でした。新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、会見は会場ではなく、テレフォンカンファレンス(電話会議)で実施されました。

 午後6時15分から午後7時まで、45分間に渡って行われた会見では、本来の決算発表ではなく、全て森社長による「公開買い付け」の説明と、記者との質疑応答のみでした。正直なところ、あまりにも突然の発表だったので驚きました。

 具体的な経営戦略は、これから追って発表されると思いますが、当面は現状の施策を維持するようです。同社はこれまで「訪問介護を成長戦略のエンジン」と位置付けてきましたが、この方針が維持されるのか否か、弊紙ではこの点を最も注目しています。

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