*「最適な介護」を実現するための情報紙*
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*****令和2年4月28日(火)第252号*****

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全老健「われわれは『籠城』するしかないが、自助努力だけでは困難」
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 老健施設の全国団体である全国老人保健施設協会(全老健)は4月28日、東京都港区の本部で記者会見し、全老健が4月21日に公表した、加藤勝信厚労大臣に宛てた要望書の内容(感染が判明した入所者は入院を優先する等)の早期の実現を、改めて訴えた。

老健2 会見で、全老健の平川博之副会長=写真・記者会見のネット配信画像より=は、新型コロナウイルスの集団感染が全国の老健施設で起きている現状を説明した上で「この大波はもはや、私たちの自助努力だけではまかなえない、極めて危機的な状況に陥っている」

 「そもそも介護は『3密』どころか『濃厚な密着』があってこそのサービスだ。仮に施設内で感染事例が起きてゾーニングを実施しても、認知症がある入所者の方は、徘徊等でこれを順守できず、感染が一度起きると拡大を抑え込むのは難しい」

 「これらの現実を踏まえて、私たちは感染防止のためには水際対策を徹底し『籠城』を決め込むしかない。しかしこの『籠城』も、感染の終息がみえてこない中で、現場ではかなりしんどくなってきている」等と窮状を訴えた。

 その上で「まず、施設内で感染者を出さないことに、改めて行政にも協力をお願いしたい。全老健が4月21日に加藤大臣に宛てて出した『要望書』の内容は、そもそも厚労省が出した通達に基づくもので、私たちはこれを徹底することをお願いしている」等と説明した。

 これに加え、水際対策を徹底するためにも、老健施設への新規入所者が新型コロナの感染者でないことを確認することが必要であることを指摘した上で「入所前にPCR検査を実施して欲しい」と、行政に対して要望した。

 さらに「要望書」提出の2日後に、会員に対して「感染例が発生した場合の施設における具体的な対策」を送信したことに触れ、「私たちも地域で必要な介護サービスが継続できるよう、他の介護業界団体にも活動を共有すること等を呼び掛けている」等と述べた。

◇─[後記]───────────

 弊紙が4月20日号で取り上げた、千葉県での集団感染事例の一つ、老健施設「市川ゆうゆう」では現在、ほぼ毎日ホームページ上で「経過報告」を継続しています。これを見ると、職員の皆さんが現場で、感染の抑え込みに懸命に努力している様子が読み取れます。

 それでもなお、新たに発熱者が発生してPCR検査を受ける等、終息の兆しがなかなか見えてこないようです。その意味でも、記者会見で平川副会長が「もはや自助努力だけでは困難」と発言した趣旨も、実感できます。

 当然、行政も可能な限り努力を重ねていると推察しますがこれ以上、介護施設で感染事例を発生させず、集団感染を引き起こさないためにも、今回の全老健の「要望」を真摯に受け止めて、実践してもらいたいと切に願います。

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