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*****令和2年2月10日(月)第197号*****

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新型コロナウイルス「日本は致命率の低下と、医療体制の維持を目指すべき」
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 国立国際医療研究センターは2月5日、同センターで治療に当たった新型コロナウイルスの感染症患者3例を発表した。日本感染症学会の求めに応じ、同学会の会員に対して3例の詳細を解説した。

 同センターは、中国・武漢市の致命率(ちめいりつ=特定の疾病に罹患した母集団のうち死亡する割合)の高さと、日本を含めた他の地域との差を「おそらく武漢市は、情報が限られていることから、重症例を中心に診断されていると思われる」と分析した。

 その上で「日本国内でも今後、流行が広がる可能性が十分に考えられる。わが国における(新型コロナウイルスの)感染症対策では、感染そのものを封じ込めることを目的とするよりは致命率の低下と、医療体制の維持をめざすことが良いと考えられる」と提言した。

 具体的には「感染症指定医療機関や都道府県の指定する診療協力医療機関で、重症例を対象として治療を行って、致命率を低下させることを目指し、軽症例は全ての医療機関で診療を行う医療体制を構築することが望ましい」と指摘した。

新型コロナ防護服 感染防止対策については「日頃からの標準予防策の徹底と、接触予防策・飛沫予防策を遵守することが重要と考えられる。(2月4日時点で)国立国際医療研究センターの『新型コロナウイルス関連肺炎に対する対応と院内感染対策』が参考となる」と呼び掛けている。

 同センターが当日に発表した、新型コロナウイルス感染症患者の3症例の概要と、その考察は次の通り=写真は、同センターでの新型コロナウイルス感染症患者に対する診療時の個人防護具・発表資料より

 ◇【症例1=33歳女性・湖南省在住中国人】2020年1月19日に武漢のホテルに1泊宿泊し、1月20日に来日した。1月23日から咽頭痛と37・5℃の発熱あり。1月24日に感染症が心配で当科を受診した。

 ◇この際は下道症状なく急性上気道炎として帰宅となった。1月27日に発熱が遷延し、新たに咳嗽・喀痰・頭痛・悪寒が出現したため再度受診した。インフルエンザ迅速検査とA群溶連菌検査を施行されたが、いずれも陰性であった。

 ◇胸部レントゲン検査で肺野に浸潤影なく、尿中にグラム染色でグラム陰性桿菌を少数認めたことから腎盂腎炎として加療開始した。その後も38℃台の発熱・咳嗽・喀痰が続き、1月30日に受診。

 ◇胸部レントゲン検査を施行したところ、左下肺野に新たな浸潤影の出現がみられた。胸部単純CTでは両側下葉にスリガラス影と浸潤影の出現があり、肺炎の可能性が強く疑われ、同日入院となった。

 ◇入院後の経過は、1月30日に咽頭拭い検査施行し、同日陽性となり肺炎と診断し、内服を開始した。1月30日から31日にかけて酸素化の低下と軽度の呼吸困難の出現があり、経鼻酸素の投与を開始した。

 ◇その後は呼吸状態の悪化や胸部レントゲン上浸潤影の増悪なく経過し、2月3日(入院5日目。初診から11日目)には37℃まで解熱し、倦怠感も改善傾向であり、経鼻での酸素吸入も不要となった。

 ◆【症例2=54 歳男性・2018年5月から武漢に仕事で滞在中の日本人】主訴=咽頭痛・鼻汁。既往歴=なし。内服=1月27日から市販の感冒薬内服。生活歴=喫煙歴なし。飲酒歴=機会飲酒程度。武漢滞在中、海鮮市場へは行っていない。

 ◆仕事=会社員。発熱患者との接触歴=なし。武漢での病院受診歴=なし。現病歴=2020年1月27日から咽頭痛と鼻汁が出現した。帰国する1月29日の飛行機内で軽度の悪寒が出現し、37・1℃の発熱と上気道症がみられた。

 ◆このため咽頭拭い検査施行のうえ、感染症疑いで同日入院となった。入院後経過=入院後38・7℃まで体温が上昇したが、呼吸状態の悪化は認めなかった。1月30日に検査で陽性と判明し、胸部レントゲン検査及び胸部CT検査施行した。

 ◆しかし、いずれも肺炎を示唆するような浸潤影はなく、急性上気道炎と診断した。その後も入院継続とし経過観察を行い、第6病日まで37℃台の発熱と倦怠感は継続している。呼吸状態の悪化はない。

 ■【症例3=41歳男性・2019年12月20日から武漢に仕事で滞在中の日本人】主訴=発熱・咳嗽。既往歴=なし。内服=なし。生活歴=喫煙あり。飲酒歴=あり。武漢滞在中、海鮮市場へは行っていない。滞在中はホテル住まい。仕事=会社員。

 ■発熱患者との接触歴=なし。武漢での病院受診歴=なし。(直近での武漢滞在前も)何度も滞在歴あり。日本に帰国した2020年1月31日から38℃の発熱と軽微な咳嗽が出現した。発熱と上気道症状あり。感染症疑いで咽頭拭い検査施行の上、同日入院となった。

 ■入院後経過=入院後38・3℃まで体温上昇したが、呼吸状態の悪化は認めなかった。2月1日の検査で陽性。胸部レントゲン検査及び胸部CT検査を施行し、左肺尖部と左肺舌区に一部浸潤影を伴うすりガラス影を認め、肺炎の診断となった。

 ■酸素需用なく、経過観察の方針とした。第4病日まで37℃台の発熱は継続しているが、呼吸状態の悪化はない。

 □【3例の考察】症例1は、診断に至るまでに1週間を要しているが、本症例のように初期は咽頭痛などの上気道症状のみで、発熱も37℃台の微熱に留まることがあり、臨床像のみで感染症を診断することは困難と考えられる。

 □症例2・症例3についても、臨床像は急性上気道炎であり、肺炎患者にみられるような咳嗽、呼吸困難といった所見はみられなかった。今回報告した3例は、いずれも武漢で感染したと考えられる症例であり、現状では過去14日間の武漢への渡航歴の聴取が重要である。

◇─[後記]───────────

 まずは3症例の概要をつかむことを目的に、同センターの報告書で難しい医学用語は全て省いて、今回の記事用にまとめました。結論として同センターでは「軽症例は、全ての医療機関で診療を行う医療体制を構築することが望ましい」と指摘しています。

 しかし一部のマスコミの報道では、新型コロナウイルスの感染が疑われた患者が地域の小さな病院を受診した際に、そこから専門病院へ紹介しようとすると「条件が該当しない」等の理由で「受入れを断られた」との事例も報じられています。

 同センターの提言を実践するためにも、日本政府には「地域の医療機関から、新型コロナウイルスを診療してくれる専門医療機関への、紹介手順とそのルート」を早急に確立して欲しいと思います。

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