*「最適な介護」を実現するための情報紙*
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*****令和元年12月6日(金)第156号*****

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ICTを駆使して「未来のパーキンソン病ハウス」を目指す
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 順天堂大学は12月6日、東京・文京区の同大学で記者会見し、株式会社サンウェルズと共同して、同社が運営する高齢者向け施設に入居するパーキンソン病(PD)患者を対象に「ICTを駆使して、QOL改善を図る研究を10月から開始した」等と発表した=写真

順天堂大学・サンウェルズ会見 同社は石川県を中心に、PD患者しか入居できないサービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホーム(PDハウス)を運営しているが、特に病状が進行期以降にあるPD入居者が、遠方にいる脳神経内科の専門医の診療を受けることが困難な状況にあった。

 一方、順天堂大学はPD研究や診療では世界的にも著名だが、近年の大学病院の役割の変遷とともに、終末期のPD患者が長期入院することが困難になり、専門医と患者の関係が薄れ、PDの進行期から終末期における対応と研究に課題を抱えていた。

 これらの問題を克服するため、両者は産学連携して、PDハウスでICT(情報通信技術)によるマルチセンサーや遠隔モニタリング等を活用して入居者のデータの収集・解析を行い、どのような状態の時に転倒しやすいか等、日常生活動作上(ADL)の障害を検出する。

 これらのデータを元に同大学では、PDハウスのハード面やソフト面での改善に積極的に関わることで、PD入居者の生活の質(QOL)を改善するための「ホームアダプテーション」の研究・開発を行う。

 具体的には、PD入居者には終日、ICT機器によりリアルタイムでデータの収集と解析が長期間連続的に行われ、蓄積される。これを元に同大学では、進行期から終末期に至るPD入居者の遠隔診療を行うとともに、様々な問題点を抽出して解決策を提示する。

 ハード面では施設内の改築や、ソフト面では施設スタッフの専門教育をWEB会議等で実施し、在宅介護領域におけるPDケアに特化した人材を育成する。両者は「今回の共同研究講座を進めることで、ICTを駆使した未来のPDハウスの構築を目指す」等と述べている。

◇─[後記]───────────

 「介護と医療の連携」と言えば、介護施設では近隣で提携している医療機関との「連携」を、在宅介護では近隣のかかりつけ医師との「連携」を指すケースが多いと思われます。両者の共通点は「近隣・連携」ですが、今回のケースは「遠隔・連携」になります。

 また、今回の共同研究はPDハウスが対象ですが、今後は高齢者が抱える、ある病状への対応に特化した介護施設や介護事業者が現れる可能性もあります。もしかするとこれらは「未来の介護と医療の連携」なのかも知れません。

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