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*****令和元年11月7日(木)第135号*****

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抗がん漢方薬・フアイア、「10年後に医薬品の承認を目指す」
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 昨年5月に、イギリスの医学専門誌GUTに、中国で抗がん新薬として使用されている「フアイア(顆粒)」が、肝臓ガンの患者686人に飲ませたところ、飲まない316人に比べて「96週後の生存率で明らかな差(13%)が出た」と発表された。

 この内容を、日本フアイア研究会(松井淳一理事長・東京歯科大学副学長)の新見正則理事(帝京大学医学部大学院東洋医学講座指導教授)が、11月7日に東京・大手町で開催した記者会見で解説し「日本でも10年後を目標に医療用医薬品としたい」との目標を掲げた。

 この内容は、先月下旬に開催された日本癌治療学会で関係者により報告され、さらに新見教授が記者会見でマスコミ向けに解説した。「フアイア」とは、エンジュの老木に寄生するキノコ=写真=の菌糸体から抽出された生薬で、中国では保険が適用されている。

フアイア 新見教授は、外科医で漢方医でもあるが、移植免疫学に関する実験で「心臓移植をしたマウスに、さまざまな音楽や音を聴かせたところ、オペラを聴かせたマウスの生存期間がもっとも長く延びた」との研究で、2013年にイグ・ノーベル賞を受賞したことでも知られる。

 記者会見で新見教授は「この抗がん新薬(日本では健康食品扱い)の研究発表の結果に大変衝撃を受けている。これからのがん治療に、一石を投じる可能性があると考えている」等と、その意義を強調した。

 ただし、現在は医療用医薬品としての承認を得るため、複数の研究が進行しており「抗がん薬としてのエビデンス(臨床結果などの科学的根拠や、その治療法がよいとされる証拠)を積み重ねている最中だ」という。

 新見教授自身も「まだマウスを使った動物実験結果の効果しか証明できていないが、これからエビデンスを積み重ねていく」としている。また新見教授は、元々外科医でもあることから「日本の平均寿命の延伸は西洋医学の進歩によるものだ」

 「従って『フアイア』で全ての治療を行うということではなく、西洋医学と組み合わせることで、有効ながん治療を行っていきたいと考えている」等と述べた。質疑応答で日本介護新聞は、この点を含め、今後の「医薬品の承認」までの過程等について新見教授に尋ねた。

 質疑応答の内容は、次の通り。

 □本紙=「西洋医学と組み合わせる」とは、具体的にどういうことか?

 ■新見=会見でも説明した通り、「生存率で明らかな差」が出たのは13%で、それは他の治療も行った上での数値だ。現在日本では「フアイア」は健康食品なので、一切他の邪魔をしない。まず色んな方に「フアイア」を試してみて、西洋医学と「併用」することになる。

 □本紙=その「一切他の邪魔をしない」点について。そもそも高齢者は日々、たくさんの薬を飲んでいるケースが多いが、「フアイア」を服用した際に、飲み合わせが悪い事例等で報告されている事実はあるのか?

 ■新見=それは現状では「ない」とされており、事例も「ゼロ」だ。しかし、多くの患者さんは「秘密(=医者には黙って自分の判断)」で他の薬を飲んでいるケースが多々ある。私たちはこの点に注意しながら研究しているが、「埋もれている」可能性もある。

 □本紙=「医薬品を目指す」とのことだが、だいたいいつぐらいまでに実現しそうか?

 ■新見=10年後だ。5年ではかなり厳しい。

◇─[後記]───────────

 質疑応答の後、新見教授に挨拶に伺ったところ「私は、高齢者の病気の治療には漢方が良いと考えている。保険も効く」と回答してもらいました。確かに漢方薬の方が、西洋医学で処方される薬よりも体に対する負担が軽そうな感じを受けます。

 ただ、質疑応答で回答してもらった通り、「生存率で明らかな差」が出たのは、わすかに「13%」で、「フアイア」で全てのがんを消し去った訳ではありません。それでも、新見教授をはじめ日本フアイア研究会には著名な医学者が多数、名を連ねています。

 弊紙も「フアイア」のエビデンスが一つずつ、積み重ねられていく過程を追って、読者の皆さんにお伝えしていきたいと思います。

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