*「最適な介護」を実現するための情報紙*
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*****令和元年10月18日(金)第123号*****

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宅内埋込センサーで体調の異変を感知し、緊急通報する
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 在宅中に、脈拍数と呼吸数の異変を、宅内に設置されたセンサーで感知し、緊急通報センターへ伝送して救急車等の手配をする──そんなシステムを構築するため、積水ハウスと米国・マサチューセッツ工科大学(MIT)医工学研究所(IMES)が共同研究を開始する。

 10月18日に、積水ハウスの仲井嘉浩社長とMITのアンソニー教授が都内で記者会見し発表した=写真。仲井社長は「当社は来年創業60周年を迎える。『わが家を世界一幸せな場所にする』をテーマに掲げ、第一弾として『家が健康をつくりだす』に取り組む」等と述べた。

積水MIT会見 具体的には、宅内で緊急性の高い疾患事故を早期に発見し、実際に事故が起きた際は緊急に対応する仕組みの構築に取り組む。まず、微弱な信号を捉える埋め込みセンサーを設置し、居住者の脈拍数と呼吸数をセンサーが監視する。

 ここでもし異変や危険を感知すると、情報が緊急通報センターへ伝達され、センターが宅内に設置されたスピーカーを通して居住者に呼びかける。応答の内容次第で必要が生じれば、救急車等の手配を行う。

 今回の共同研究でMITとIMESは、このシステムに最適なセンサー技術やデータの精度、その検証方法等を研究し、システムのバージョンアップを図る。将来的に監視データの種類を増やすことで、高血圧や糖尿病、無呼吸症候群等のリスクの検出も目指す。

 MITのアンソニー教授=写真右=は、「高齢化に伴って生じる問題は、もはや世界的な解決課題だ。今回の共同研究も、すでに複数の反響や反応、賛同を各所から頂いているので、これらの企業・大学病院・生体センサーの専門家とのコラボレーションを拡大させていく」

 「私たちの地域で、75歳の女性と91歳の男性の家族の承諾を頂き、宅内にこのシステムを設置して実証試験を開始している」等と述べた。また仲井社長=写真左=は「今回のテーマは『健康』だが、いずれ『つながり』と『学び』をテーマにした共同研究にも取り組む」

 「これらの活動から得られるデータを、IоTを利用して取得し、さらに活用するシステムを作り上げていく。これによって我が家を『プラットフォームハウス』とし、人生百年時代の幸せをアシストする家としたい」等と抱負を述べた。

◇─[後記]───────────

 この記者会見に出席して、最初に思ったのが「本当にそんなことができるのか?」でした。例えば、センサー付きのリストバンドを装着したり、ベッドに敷いたセンサーマットから様々な異変を感知するシステムは見てきましたが、今回は「完全な非接触型」です。

 さらにこれはあくまで共同研究の第1弾のテーマで、実験を積み重ねることで様々なサービスの可能性を追求し、実現を目指すそうです。記者会見の後、システムの担当者に聞いたところ「当然、将来的には介護に関する事項にも取り組んでいく予定だ」そうです。

 まだ共同研究も、米国での実証実験もスタートしたばかりで、その成果がすぐに実践されるわけではありませんが、在宅における医療と介護の可能性を探る意味でも、研究の進捗状況は逐次お伝えしていきたいと思います。

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