*「最適な介護」を実現するための情報紙*
_/_/_/_/_/日本介護新聞ビジネス版_/_/_/_/_/
*****令和元年9月23日(月・祝)第107号*****

◆◇◆◆◆─────────────
三重県、介護助手の導入事業所が離職率「半減」
─────────────◆◇◇◆◆

 三重県では、介護現場における職員の離職防止等を主な目的として、平成27年度より「介護助手」を実施しているが、導入時(平成27年度・9施設)の離職率が11・3%が、平成30年には5・1%(25施設)と「半減」した=グラフ・三重県「導入実施マニュアル」より

介護助手グラフ 同制度は、三重県老人保健施設協会が平成27年度から、実証実験的に取り組み始めその後、県内の特養・グループホーム等に広まっている。開始から現時点までの参加施設と実績は、次の通り。

 □平成27年度=老健9施設(採用57名・継続雇用47名)
 □平成28年度=老健18施設(採用89名・継続雇用81名)
 ■平成29年度=老健4施設+特養6施設(採用48名・継続雇用47名)
 ■平成30年度=老健5施設+特養6施設+グループホーム2施設(採用58名・継続雇用52名)
 □令和元年度=対象サービス種別をさらに広げて実施。現在43事業所が申し込み

 同制度に手応えを感じた三重県では、平成30年度に「介護助手導入実施マニュアル」を作成して公表し、令和元年度からは、それまで制度の実施窓口が県老健協会であったものを、三重県が直接、介護事業所から補助金の交付申請を受け付けるスキームに変更した。

 補助金の上限額は1事業所当たり20万円で、介護助手の指導に当たる職員の手当てや、募集で利用する会場の使用料等に当てる。同制度の最大の特長は「介護助手」の対象を「元気高齢者」に絞っていること。高齢になっても働き続けたい「元気シニア」が主になる。

 このため実際の業務も「身体介護はさせない」「認知症の方への直接対応は不可」「あくまで周辺業務に限る」「無理をさせない」こと等を「マニュアル」で明記している。実際に介護助手が行っている業務とその割合は、次のようになっている。

 1.ベッドメイキング=76%
 2.掃除(フロア)、配膳・下膳=68%
 3.掃除(居室)=64%
 4.利用者の話し相手=60%
 5.食器洗い等=56%

 今後について三重県の担当者は「『マニュアル』を活用し、今年度からはより多様な施設種別・事業所への介護助手導入を促進する。また事業者が利用しやすいように、支援も必要性の高いものへブラッシュアップしていきたい」

 「導入する際は、事前の準備が『成功』のカギとなる。そのノウハウはぜひ『マニュアル』をご参照頂きたい」等とコメントしている。三重県の取り組みは、9月18日に厚労省が開催した「第7回介護人材確保地域戦略会議」で、先進的な実践事例として紹介された。

◇─[後記]───────────

 三重県は、老健施設の全国組織である「全国老人保健施設協会」(略称=全老健)の、東憲太郎会長の「おひざ元」でもあります。このため東会長は、厚労省の有識者会議等で、ことあるたびに「介護助手」の導入とその効果を訴えています。

 そもそも三重県が「介護助手」を実証実験的に取り組み始めた契機は、東会長を中心とした老健側からの強い要望があったからだそうです。介護人材確保に「特効薬」はありませんが、このような「成功事例」はぜひ、全国で共有したいものです。

 弊紙では厚労省の「介護人材確保地域戦略会議」を何度か取材していますが、全国の自治体も「効果的な対策が見当たらない」と苦悩しているのが実情です。介護事業者側で「こんなアイデアがある」との構想があれば、自治体に提案してみる価値は十分にあるでしょう。

─────────────────

 ◆日本介護新聞「ビジネ版」バックナンバー
・PC/スマートフォン版=http://nippon-kaigo-b.blog.jp/
・携帯版=http://nippon-kaigo-b.m.blog.jp/
◎購読申し込み(「まぐまぐ」サイト)=https://www.mag2.com/m/0001687235.html
 ◆日本介護新聞・本紙(エンドユーザ─版)バックナンバー
・PC/スマートフォン版=http://nippon-kaigo.blog.jp/
・携帯版=http://nippon-kaigo.m.blog.jp/
◎購読申し込み(「まぐまぐ」サイト)=https://www.mag2.com/m/0001677525.html
 ◆公式ホームページ=http://n-kaigo.wixsite.com/kaigo
 ◆ビジネス電子版=http://n-kaigo.wixsite.com/kaigo/blog

(C)2019 日本介護新聞