*「最適な介護」を実現するための情報紙*
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*****令和元年8月28日(水)第89号*****

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SOMPO「2022年に看護師と同水準の処遇に」
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 介護業界大手のSOMPOケア(東京都品川区、遠藤健社長)は8月26日、同社に勤務する介護職員の処遇改善について、今年10月に実施する「第1段階」で「地域トップクラスの水準に引き上げる」と発表した。

 ここでは、厚労省が消費税の引き上げを財源として実施する「特定処遇改善加算」に加え、同社が独自に年間約10億円を投資する。さらに「第2段階」として「2022年には、介護職のリーダーを担う社員の処遇を看護師と同等水準まで引き上げる」と公表した。

 今回の施策の目的として「介護人材の需給ギャップを解消するために、人材の確保と定着に寄与すること」「職員の専門性の高さを評価して納得感のある処遇とすること」「介護職の社会的地位向上を通じて、介護業界全体の発展に貢献すること」の3点を挙げている。

 具体的には「第1段階」で、介護付きホームの副ホーム長やケアリーダー、訪問介護のサービス提供責任者(サ責)など、介護職のリーダーを担う正社員に対し年間24万円、それ以外の介護福祉士相当の資格を保有する正社員に対し年間8・4万円の処遇改善を行う。

 またパート社員で、デイサービスの生活相談員、訪問介護のサ責等の職員は、時給を110円引き上げる。さらに「業界大手他社と比較して処遇が著しく劣後し、人材確保が困難な地域・業態では、重点的に処遇を改善する」と述べている。

 具体的には、介護職のリーダーを担う正社員に対し年間で最大約80万円、介護福祉士相当の資格を保有する正社員には年間で最大約65万円の引き上げを実施する。加えて夜勤手当も地域別に改めて金額を設定し、「地域トップクラス水準の処遇を実現する」としている。

 一つのモデル年収として、東京都世田谷区の介護職リーダー正社員は現在の376万円から456万4千円(夜勤月5回、日祝手当を含む)に。リーダー以外で介護福祉士相当の資格を保有する正社員は現在の330万円から394万8千円(夜勤月5回、日祝手当を含む)に。
 
 次に「第2段階」で2022年に、介護職のリーダーを担う社員の処遇を看護師と同等の水準まで引き上げ、介護人材の確保と定着を図るとともに、キャリアアップの仕組みや職場環境の改善、介護職の社会的地位の向上に繋げる計画を立てている。
 
 これらの前段として同社は、昨年7月に新たな人事制度を導入し「わかりやすい等級制度や目標チャレンジ制度を設け、長期的なキャリアアップのイメージや多様なキャリア選択を描きやすくした。また、末永く働ける仕組みの一つとして退職金制度を導入した」という。

 今後について同社では「介護における需給ギャップ解消のための人材確保と定着は、当社のみならず業界全体の問題。引き続き、処遇改善をはじめとして介護職ならびに介護業界全体の社会的地位の向上に取り組んでいきたい」等と述べている。

◇─[後記]───────────

 今回の同社の発表で、弊紙が最も注目したのは「2022年には、介護職のリーダーを担う社員の処遇を看護師と同等水準まで引き上げる」と公表したことです。医療と介護の連携の重要性が叫ばれる中で、なぜか介護士は「看護師の下」に位置付けられる感がぬぐえません。

 いずれ、医療福祉分野への就職を志す若者が、「介護士と看護師は、給与水準は変わらないのだから、自分は介護の仕事に興味があるので介護士になってみよう」という時代が来ることが、最も理想的な介護業界の「将来像」だと思います。

 ただ、別の業界大手が先行して「自社独自の大幅な処遇改善」を実施しましたが、「中堅層の一部で想定外の退職が相次ぎ、キャリアプランを再構築する」ことで対応し、現在も「試行錯誤」を重ねています。

 また厚労省は「介護職員の離職理由のトップは、必ずしも給与の低さではない」と指摘しています。SOMPOケアをはじめとした業界大手には、様々な課題を乗り越えて、ぜひ「介護士と看護師は同じ給与水準」を実現して頂きたいと、弊紙では願っております。

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