*「最適な介護」を実現するための情報紙*
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*****令和元年7月4日(木)第53号*****

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財務省、要介護1・2の生活援助サービス「見直しを」
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 介護保険制度の、前回の「平成30年度改正」で議論の的となり、結果的に見送りとなった「軽度者へのサービスの見直し」が、「令和3年度改正」で再燃することになりそうだ。具体的には、要介護1・2の人の生活援助サービスの「地域支援事業への移行」等を指摘している。

 財務省の財政制度等審議会が6月19日、「令和時代の財政の在り方に関する建議」をとりまとめ、この中で指摘した。同会の榊原定征会長が、「政府においては本建議の趣旨に沿い、今後の財政運営に当たるよう強く要請する」等と述べ、麻生太郎財務大臣に提出した。

 財務省はこれまで「介護保険制度の持続可能性を確保し、更なる上昇が見込まれる保険料負担の増加を抑制する観点から、改革に着実に取り組む必要がある」との認識から「保険給付範囲の在り方の見直し」を事ある度に主張してきた。

 その項目として建議では「軽度者へのサービスの見直し」を挙げ、具体的な改革の方向性として次の3点を挙げた。

 1=要介護度・要支援度の軽重にかかわらず同じ保険給付率となっている制度を改め、小さなリスクについては、より自助で対応することとすべきである。

 2=要支援者向けサービスの地域支援事業への定着・多様化にも引き続き取り組む。

 3=軽度者(対象のサービス)のうち、残された要介護1・2の者の生活援助サービス等についても、第8期計画期間=令和3年度(2021年度)~令和5年度(2023年度)=中の更なる地域支援事業への移行や、生活援助サービスを対象とした支給限度額の設定、または利用者負担の引上げ等について、具体的に検討して行く必要がある。

 特に「3」では、見直しの対象を「要介護1・2の者の生活援助サービス」と明記し、さらにその時期も「第8期計画期間(令和3年度改正)中」と指定している。前回は、介護保険部会や介護給付費分科会で委員から強い反発と批判があり、今回も「大激論」となりそうだ。

◇─[後記]───────────

 厚労省ではほとんどの審議会は「公開」なので、マスコミも一般傍聴者に交じって取材ができます。弊紙は以前、財務省に「財政審を傍聴したい」と申し出たら「会議は非公開で、終了後に担当官がブリーフィングを行うが、対象は財務省の記者クラブ加盟社のみ」。

 会議の資料も、このブリーフィング参加者には配布されますが、それ以外は財務省のホームページに掲載されるのを待つしかありません。この「建議」について一般紙は、介護分野では「利用者負担の段階的な引き上げ」等と、小さく報じているだけでした。

 ところが、ようやく公開された資料をみてみると、前回の平成30年度改正の際に「大激論」となった「軽度者の生活援助サービスの見直し」が明記されていました。情報の取得が一般紙より2週間ほど遅れてしまいましたが、大変重要な事項ですので敢えて記事化しました。

 厚労省の審議会ではまだ、「平成30年度改正」の検証を行っている段階で、「令和3年度改正」の議論は始まっていません。また建議では、上記の他にも一般紙が報じたように「利用者負担を原則2割とすることや、利用者負担2割に向けその対象範囲を拡大する」

 「ケアマネジメントについても、世代間の公平性の観点等も踏まえ、利用者負担を設けるとともに、評価手法の確立や報酬への反映を通じて、質の高いケアマネジメントを実現する仕組みとすべき」等を盛り込んでいます。まずは、厚労省の「見解」を聞きたいと思います。

 今後とも弊紙をご愛顧のほど、よろしくお願いいたします。

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