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*****令和元年6月27日(木)第48号*****

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「転院してきた高齢『終末期』患者の約半分は改善する」
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 日本慢性期医療協会の武久洋三会長=写真=は、他の医療機関が「終末期」と判断した高齢者で、慢性期病院へ紹介されてきた患者のうち「約半数程度は治療により改善する」と述べた。6月27日に、東京都新宿区の同協会で開催された定例記者会見で指摘した。

武久会長 そもそも「終末期」とは、がんや神経難病以外では、日本医師会で「最善の治療を施しても病状の改善がみられない場合」等と定めている。具体的には低栄養、脱水持続状態、重症感染症、感染症重積、真性心不全、腎不全、植物状態──等が該当する。

 これを踏まえて武久会長は「特に専門医は、高齢者の低栄養や脱水による虚弱状態は『終末期』として対応することが多い。治療可能で、意識のある患者に「頑張れば回復できる」と説明し、水分や栄養補給を適切に行えば病状が改善するケースが多い」等と指摘した。

 この点について本紙は、武久会長に「そのような状況で『終末期』として慢性期病院に受け入れた高齢者のうち、どのくらいの患者が回復し退院していくのか」と質問したところ、「それが100例あったとしたら、半分の50例くらいが該当するだろう」と答えた。

 その理由として「そもそも高齢者には、一日に必要な水分と栄養が決まっているが、急性期の医師はこの当たりの治療が不得意だ。また急性期は看護師の配置が手厚いが、ケアスタッフ(介護職員)はほとんど機能していない」

 「これに対し慢性期病院は、医療とケア(介護)の両面で適切な対応ができる。特に高齢者に対してはケアが重要になってくる。今後は急性期病院であっても、看護師は看護業務に集中できるように、ケアを意識的に入れてくべきだと思う」等と述べた。

◇─[後記]───────────

 実は、今回の定例記者会見のテーマは「終末期医療費について」でした。この記事で取り上げた内容は、その補足として説明された部分でしたが、介護業界にとっては極めて重要な指摘であると判断し、ご紹介しました。

 この話しを正面から捉えれば「高齢者には、十分な水分補給と栄養摂取が極めて重要である」ことが主張されていますが、ウラから見れば「実は、医療現場では高齢者の『終末期』が適切に判断されていない事例が多い」とも言えると思います。

 実は以前、ある医師が教えてくれた話しとして「介護施設から『虚弱状態が改善されない』として緊急入院した入居者が、診断してみたら低栄養だった」という事例がありました。その当時は、この話しが信じられませんでした。

 しかし、専門の医師ですら「終末期」への対応が適切に判断できないのだから、介護施設でもこのようなケースは十分にあり得ると思いました。この「医療現場で、患者の症状が適切に判断されていない」という話題は近々もう一度、弊紙で取り上げます。

 その際に、「専門医から患者を受け入れる側の医師は、どう考えているのか」についても、ご紹介したいと思います。

 今後とも弊紙をご愛顧のほど、よろしくお願いいたします。

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