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*****令和元年5月11日(土)第14号*****

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ベネッセ、離職者増加で10月から新人事制度
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 業界大手のベネッセは、介護職員に対して2年前の4月に大幅な処遇改善を実施したものの、昨年度後半に退職者が増加したため、今年10月に新たな人事制度を設定する。5月10日に、東京・日本橋で開催した「2019年3月期決算説明会」で明らかにした。

 ベネッセホールディングス(本社・岡山市)の安達保社長=写真=は、同社の介護・保育事業の業績について、「売上高は前年比4・6%増収の1169億円。新たなホームを6つ開設して入居者数が増加したことと、既存施設の入居率が96%と好調だったことが要因」と説明した。
安達社長

 また「営業利益は28・8%と大幅に増加して113億円となった。要因は、増収効果によるものと、もう一つは労務費の減少がある。これは、実は昨年度(2018年度)後半で大幅に退職者が増加して、予定していた労務費が消化できなかったことが理由だ」と解説した。

 本紙は質疑応答で、安達社長に「大幅に退職者が増加した理由」を尋ねた。これに介護・保育事業の担当役員である滝山真也取締役(=ベネッセスタイルケア社長)が回答した。

 滝山取締役は「今までの人事制度は、成長実感とかキャリアを重視して設定したつもりだったが、そこがまだ不足していると認識した」「そこで、キャリアと成長実感にさらにフォーカスを当てるために新人事制度の設定を今年10月を目途に行っていく」と説明した。

 本紙と滝山取締役との質疑応答の内容は、次の通り。

 □本紙=安達社長は『年度の後半で大幅に退職者が増加した』と説明したが、これは保育ではなく、介護職員なのか? また理由は、特殊要因なのか? 具体的に教えて欲しい。

 ■滝山=介護スタッフの退職だ。2017年4月に社内で大幅な処遇改善を行い、2017年度は定着率が大きく上がった。昨年の2018年度は、人材委託(=派遣社員の受け入れ)に頼らず、直接雇用社員だけで運営ができるような、非常に良い状況になった。

 ■しかし昨年度の下期から、退職率が悪化した。累計で言えば「大幅な処遇改善」を行った前の水準にほぼ戻った。なので、以前に比べて悪くなった、ということではない。

 ■ただ、離職した介護スタッフの属性を調べてみると、全ての属性の介護スタッフの退職が悪化した訳ではない。例えば、新卒3年目までの社員の定着率は引き続き高止まりしている。また非常勤の介護スタッフは、過去6年で最も高い定着率となった。

 ■なので、いくつかの属性の退職率が悪化している、という状況だ。そのうちの一つが、「介護福祉士という国家資格を取得していない、入社4年目以上くらいの層」で、この人たちの退職が目立った。

 ■そこで、社員との対話を含めて確認したところ、今までの人事制度は、成長実感とかキャリアを重視して設定したつもりだったが、そこがまだ不足している、ということを認識した。

 ■そこで、キャリアと成長実感という点に、さらにフォーカスを当てるために新人事制度を設定し、社内資格と連動した処遇改善を、今年10月を目途に行っていく。そういう施策によって「定着率を元に戻して行こう」ということだ。

◇─[後記]───────────

 2年前の3月に、ベネッセが「大幅な処遇改善」の実施を公表した直後に、かつてベネッセの施設で正職員として勤務していた経験を持つ女性に、全くの偶然でしたが弊紙は話しを聞く機会がありました。

 その時彼女は、すでに介護職ではありませんでしたが、介護事業者を相手にする仕事をしていました。この女性に「もし、在職中にこの制度が出来ていたとしたら、あなたは仕事を続けていたか?」と質問しました。

 彼女は少し考えた後に「でも、お給料だけじゃないですからね……」と、苦笑いをしながら答えました。結果的に今回、同社で「離職者が増加」したことは、「大幅な処遇改善」では解決できなかった課題があった、ということになると思います。

 それは、同社が実行する「成長実感やキャリアを重視した、新たな人事制度」で解決するのか……。来年の今ごろ、その答えが出るはずです。まずは今年10月、どのような新人事制度を打ち出すのか、注目したいと思います。

 今後とも弊紙をご愛顧のほど、よろしくお願いいたします。

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