*「最適な介護」を実現するための情報紙*
_/_/_/_/_/日本介護新聞ビジネス版_/_/_/_/_/
*****平成31年4月18日(木)第6号*****

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「ヒューマン+」という考え方
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 新たな元号「令和」の時代の働き方として「ヒューマン+」(ヒューマンプラス)という考え方を提示した。人手不足解消の打開策を模索している介護業界で、今後注目されるキーワードとなりそうだ。

 世界的な総合コンサルティング企業のアクセンチュアは4月18日、東京・三田にある同社の施設で、「テクノロジービジョン2019」と題したマスコミ向けのプレゼンテーションを行い、この中で指摘した。

 登壇した、同社テクノロジーコンサルティング本部の山根圭輔・統括マネジングティレクター=写真=は、新たな時代を「ポストデジタルの到来」と位置づけ、具体的に5つのトレンドを挙げて説明した。
第6号掲載写真

 結論として「個別のテクノロジーに振り回されるのではなく、各企業は他社と差異化するために、企業独自のオリジナルなストーリーを紡いでいく必要がある」等と指摘した。

 その中で「ヒューマン+」のトレンドでは、具体的な事例として日本航空の、空港の接客カウンター職員が音声認識のAIを使い、個々の職員が顧客対応のスキルを高め、待ち時間の削減と顧客満足の向上を図っている事例を説明した。

 職員は、顧客からカウンター越しに質問を受けた際に、これまでは個々の知識で対応することが求められていたが、不明な際はマニュアルを読んだり、他のベテラン職員に聞く等して時間をかけて調べた後に回答していた。

 この対策に、AIを活用したシステムを導入した。職員は耳にワイヤレスの小型マイクを装着し、顧客との会話の内容は全てマイクが拾い上げてAIに送信され、これをAIが分析した上で適正な回答のための情報を、職員の目前に設置されているタブレットに表示するシステムを構築した。

 これにより、スタッフのスキルは向上(=ヒューマンプラス)されるようになった。現在では、一人の職員が複数の業務をこなせるようになったことで、業務の効率化に大きく寄与している、という。

 また職員にとっても、顧客がこれから長距離のフライト便に搭乗するのであれば「このようなサービスがご提供できます」等と、本来は職員が知らなかったサービスも顧客に提案することができるようになった。

 同社では以前から「顧客から質問されても知識不足で即答できない」という悩みが職員から寄せられていた。このAIシステムの導入は「ストレスが解消された」との高い評価を得て、同社全体でも「従業員満足度が向上した」という。

 AIシステムの提案と構築に当たったアクセンチュアでは「ビジネスを理解しながら、テクノロジーをどこに活用して、どういった効果が得られるかをしっかりデザインできるメンバーと、それを形にできるメンバーがタッグを組む必要があった。この日本航空の事例では、スタートから小型マイクの導入に至るまで約2週間かかった。徐々に実験導入して、このAIシステムを構築した」等と述べた。

 このようなAIシステムは、介護や福祉の現場にでも適用できるのか?──本紙の質問に対して、同社の槇隆広・マネジングディレクターは「弊社では現在、実際に介護をはじめとした福祉領域で動いているプロジェクトがある」と回答した。

 今回の「ヒューマン+」の話題も含めアクセンチュアが発表した「テクノロジービジョン2019」の内容の詳細は、日本語版特設WEBサイト(www.accenture.com/technologyvision-jp)に掲載されている。

◇─[後記]───────────

 「介護人材不足」の話題を取材する際に、必ず出てくるキーワードは「業務の効率化」と「入職者の確保」と「離職防止」です。どれも「現状の膨大な業務量の中で、足りない部分をどのように補うか」という視点から捉えています。

 今回、アクセンチュアの発表で弊紙が注目した点は、人材の能力を「プラスする」という考え方です。もちろんAIを導入すれば全ての課題が解決する訳ではありません。

 ただ、人材不足問題に有効な打開策が見いだせていない介護業界にとっては、一考に値する貴重な提言であると考え、また同社でも実際に介護福祉領域で稼働しているプロジェクトもあることから、今回ご紹介いたしました。

 今後とも弊紙をご愛顧のほど、よろしくお願いいたします。

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